Yuri

君たちはどう生きるかのYuriのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.8
たまたまこの1ヶ月、ずっとこのテーマについて考えてたこともあって、タイトルに惹かれて観てきた。

このテーマについて僕の中で一つ確信的な答えとして持っていたのは「価値判断のものさしを他者に譲るな」ということ。
それはこの映画で言うところの、いくら飛べど上の世界に行けないペリカンであり、父親が村に持ち込んだインコであり、かりそめの安定をくれる邪悪な石のことだったと思う。

自分が考えていたことを肯定されたような気がした一方で、世代を超えた命の営みについて、自分が今まであまりに無関心で軽視していたことを気付かされた。

大叔父が積み上げた世界、死に向かいながら命を繋ぐ母親の姿を通して、姉の息子と父親の好きな人でしかなかった2人が母と子になる。

最近の僕は目の前の人生をマシにしようと躍起になっていたけど、先代から繋がれ自分がこれから繋いでいくべき長い歴史をもっと感じるべきで、月並みだけど命そのものの価値をもっと認めて良いんだと思った。

僕たちはまず、あちこちで正しい石を探すところから始めないといけない。それを積み、後世に繋ぐために。

そんなことを考えながら2時間、映画館から家まで歩いて帰ってきた。

ジブリに強い思い入れは無いけど、宮崎駿の凄みを思い知らされた。凄すぎて誇らしさすら感じた。
新海誠や細田守に爪の垢を煎じて飲ませたい。
エンディングの米津玄師が玉に瑕だけど、間違いなく人生で5本の指に入り続ける最高の作品でした。

簡単に答え合わせができる時代だけど考察なんか見ずに何度も反芻したい。自力で解像度を上げていくことに価値があると思えるとても素敵な作品。
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