イクル

君たちはどう生きるかのイクルのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0
君たちはどう生きるか
クエスチョンのみが与えられた状態での鑑賞。

日常にいかに没入させるか。戦時の風景をいかに染み込ませるか。導入が長く、平凡な分、スペクタルな部分が光る。媚びすぎない姿勢が、中和を生んでいた。

死と対比することで際立つ生の感覚。生きれば生きるほど死に近づく矛盾。その儚さ、諸行無常がやはりジブリという太陽のもとでより光を浴びている気がする。

やたら生物、カエルや鳥が大勢で描かれているシーンが気になった。あれは社会の縮図?ネット社会に蔓延る見えない隣人を、生物という人間と相反するものとしてあえて描いていたのか?死へ追い込むものはもはや、見えない圧力によってでさえ実現してしまう。自殺率の上昇や、不登校の増加、なにか陰湿なものが現代社会に影を落としている。我らが生きる日常の裏側を描くことで、生きること、生きるとは何か、生きることがいかに大切か、何もないことがいかに幸せか、明確に描いていたように思う。

最後は自ら現代という扉を選んだという解釈。過去という、本当の母親の存在を胸にしまいつつ、現代の第二の母親を認める姿勢。受け入れること。前に進むこと。後悔なんて着こなすだけ。
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