このレビューはネタバレを含みます
宮崎駿がファンタジーという表現技法を初めて自分の人生を表現するために使った作品という印象。
節々から漏れ出るパーソナルな感情や終焉に向かっていくテーマが垣間見えるのに、ただの私小説に全く収まらないのがさすがすぎる…
(自分が影響を受けた本をとっかかりにして、自分の作家人生を自分の作品で振り返る…そんな目論見があるなら"引退したけど作った"っていう一見矛盾している発言にも腑が落ちる。)
根底を貫く軸があったからか、映像表現は史上一と言っていいくらい右脳が大爆発しており、ファンタジーを超え悪夢的とも言える世界。すごすぎる。あまりにも自由でイノセント。
総じて、一人の人間がその人生を振り返る"私的"な一面と、それに相反する"みんな"のファンタジー作家の矜持を見せつける…そんな大傑作だと思いました。
そして今作で本当に最後なんだな…と思わずにはいられない、終わる直前の生き物だけが見せる爆発力が全編に宿っていたように思える、寂しい。
君たちはどう生きるか？
僕(たち)はこう生きてきたよって言われた気がしました。
