ひまたん

君たちはどう生きるかのひまたんのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

これは宮崎駿、あるいは日本国民が漠然と抱いてきた「ジブリっぽさ」の総決算なのだな、ということが、積み木に象徴される「13作品」のうち半分もろくに鑑賞できていない僕ですら分かる。
パンにかぶりつくシーン、『風立ちぬ』の零戦、こだまのような生物、『ハウル』のような火のイメージ、ラピュタのような空間、明らかに過去のジブリを思わせるモチーフがこれでもかと登場する。
 
ジブリそのものに浸からなかった人生だったので前提知識が必要といわれる部分やディテールに込められたニュアンスは理解できていないわけだが、
そんなことを考えずに無邪気に楽しむ映画として捉えてみると、
寓意のある純粋にファンタジー感にワクワクできたことと、
この作品が心の底から生を肯定していることが心に残ったので十分だなと思えた。
 
悪いが良い父、純朴なようで悪意を持つ主人公と人間の多面性が描かれているところと、なんといってもインコモブたちのキャラクターが好き。
『風立ちぬ』のような実話ベースで話が進むのかと思ったところからの急展開は、予告編があったら驚きなく消化してしまったかもしれず、宣伝なしで見れたことを幸運だと思う。
ラストの「眞人を産むんだから」はちょっと言いすぎというか、言わなくてよかったと思うのだが、ずっとそれを言ってしまう作品を作っているのがジブリという気もしてきた。
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