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君たちはどう生きるかのIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
1.5
『宮﨑駿監督の軌跡を辿る124分』

娯楽と現実の狭間を旅する、それでいてジブリらしさを感じられる一作。

今作の宣伝を一切行わないという方針は、スタジオジブリの築いたブランド力と現代のSNSの力を上手く利用した良いプロモーションであったと感じる。
どんな作品なんだろうと想像を膨らませる時間も含めてファンには楽しい時間だったのではないだろうか。

作中で随所に感じる既視感は決して何かの真似ではなく、今も愛されるジブリの名作のワンシーンから引用されたファンに対するサービスカットであり、監督の自身の過去作を懐かしみ、大切にしているという証に感じた。

しかしながら、肝心の内容はというと、何だか訳がわからない。
宣伝無しの方針に忠実に従い情報ゼロで鑑賞に臨んだが、あとで知った初号試写会後の監督のコメントに納得しつつもモヤモヤ苦笑い。

宮﨑監督「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」

いやいや、作った人が訳がわからないものを観客が『解る』筈もなく、パンフレットの販売も後日のため(これについては流石にやり過ぎと感じる)、現時点で存在する全ての考察は空想の域を出ない。
その状態でいわゆる評論家と呼ばれる方々はどのような言葉で今作を語るのだろう。
(私はパンフレットに寄稿されている評論に触れるくらいで、〇〇評論家という方々には関わらないようにしているので答えは分からずじまいだが)

以前、庵野秀明監督がシン・エヴァンゲリオンの公式Twitterで答えた質問(Q.そのひとが言うとそれが正解になってしまう非関係者のひとのことをどう思っていますか?A.迷惑、と思います。)に、ジブリが同意の表明をしたことから、今作は、製作者の思いを無視した評論をあたかも正解のように語る一部の評論家に対する挑戦状にも思える。
「私も訳がわからなかったのに、君たちはどう語るか。」と。

今作のタイトルが『君たちはどう生きるか』であるように、情報過多の今の世界で何が正しくて何が間違っているのか、他人の意見に振り回されず、声が大きい人の意見に惑わされず、『自分がどう思うか』を何より大切にしていきたいと感じた作品であった。


おそらく宮﨑駿監督最後の作品を、スタジオジブリ作品初のIMAX上映にて。

《おまけ》
私が愛するジブリ作品ランキング
1.もののけ姫
2.天空の城ラピュタ
3.コクリコ坂から
次点.思い出のマーニー

(2023.8.11追記)
ようやくパンフレット発売ということで早速購入。
で、愕然。
40ページもあるのにほとんどが本編のシーンを抜き出し掲載しただけ。
作品解説こそ楽しみにしていたのに、それは一切無し。
ジブリの大ファン・コレクターでもない限り、買う価値無し。
このあまりにも馬鹿げた仕打ちに☆3.0→☆1.5へ変更。