くれあ

君たちはどう生きるかのくれあのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

一応ストーリーがあって、キャラクターも魅力的でないとは言えないが、エンタメとして成立しているかは微妙。
「前宣伝ゼロの映画を観られる」という貴重な体験をしに行った、と思えば悪くはない。しかし個人的には、正規価格で鑑賞する価値は感じなかった。アートと捉えるなら、考察して何かを得ようとすれば得られるかもしれない。しかし、そこまでする必要があるかも疑問。いかに全盛期が凄かろうと、もう80歳、寄る年波には勝てないんだなと思った。
内容は、ふわふわしており、よくわからない。一つだけ、はっきりした感想がある。
真人は自分の傷を「悪意の印」と言ったが、私は、違うと思う。
たしかに彼は自分で自分を傷つけ、そのことを周りに言わなかった。父や継母達への当て付けだろう。新しい環境への不満、突き詰めれば実母を失ったことを受け入れきれない未熟さ、寂しさなどの表れと感じた。
ゆえに彼は、確かに純粋無垢な存在とは言えないかもしれない。しかし、ごく普通の子どもらしい感情や行動であり、たとえ戦時中とはいえ責められるものでもなかろう。
さらに彼は、悪意らしい悪意に晒されていない。現実の両親はもちろん、継母や関係者にも愛されている。田舎への転校生があんな登場の仕方をしたら、反感を買うのは当然でさえある。アオサギや大叔父は何かよく分からなかったがファンタジーだし。。
強いていえば、彼の傷は「弱さの印」だろう。少なくとも、悪意ではないと私は思った。
おそらく映画のクライマックスと呼ぶべき部分の、制作者の思いそのものかもしれない主人公の台詞に対して違和感が拭えなかったため、他はさておいても、私の感性には合わない映画だったと言える。
画はジブリらしく綺麗。この作画技術はぜひ未来に継承してほしい。
くれあ

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