「やっぱこいつ強えーわ もうダメだ 強い」といった趣で、色々と思うところはあれど圧倒的な強さがその全てを凌駕してゆくので降伏するしかない。ラスト5分、自分が何故泣いているのかもわからないままエンドロールを迎え、終わっても尚止まらないこれが感傷的な涙なのか心の躍動による涙なのかも分からない。
私たちは生まれて死んでゆくというただそれだけのことを偉大なる諦念の中で執拗に肯定し続ける筆致は『8 1/2』の大ネタ使いである例のカットからも分かるように実にフェリーニ的だが、それは単なるオマージュではなくもっと奥にある人間としての共鳴なのであろう。老人になってから感じる共鳴は、鳴りが深そう。
2時間もかけて抽象的で内省的な描写をひたすら重ね、観る者に言語化が困難な様々な感情を湧き立たせておいて、最後の数分で強い言葉で急所を射るというのはミヤハヤのお家芸だけど、矢の速さと精度が凄すぎてもうダメだ強いって感じです。
私は鳥が苦手なのでちょっと生理的な怖さがあった。鳥苦手な人はご注意ください。
