このレビューはネタバレを含みます
10代の頃にこの映画を見ても何も理解出来なかったと思う。“私自身が出産適齢期である29歳の女”なので女性目線の感想を書きます。
キリコさんに「死の匂いがプンプンする」と言われる真人。
当時としてはかなり恵まれた環境にいた彼は、作ってもらったご飯を「美味しくない」と言い放ち、夏子に対しても心開かない。現実を生きていない様は確かに死んでいるのかもしれない。
今の私もキリコさんに会ったら「死の匂いが〜」と同じことを言われてしまいそうだな。「日々死に近づいている」のは避けられない事実だけど、その上でどう生きるか?を問われる映画なんだと思う。
キリコさんと汗水垂らしてデカい魚を仕留め、血だらけになりながら捌く真人。段々とイキイキ(?)していくあの感じは千と千尋を彷彿とさせる。労働後に飲む水がまぁ美味しそうだったこと。労働讃歌ここにあり!
ミステリアスな青鷺も、化けの皮を剥がせば人間味あるおっさん...。外見で判断するなよってこと?
ペリカンが人間になる前の白いフワフワちゃんを食べる様は、受精の難しさを表現してるのかなと思った。
私はペリカンがコウノトリにも見えて、「出産は、コウノトリが赤ちゃんを運んでくるなんて生温いもんじゃねえぞ」とロックに表現したいのかなとも思ったけど流石に深読みですよね...
あっちの世界では妊婦をかなり特別扱いしていたので「産むことの重み」だったり「母は最強」的なテーマは本当にすごく訴えかけてくる。重い。
殺生と出産、母親、家族、戦争。たぶんいろんなテーマが盛り込まれてて、解釈の正解はないんじゃないかな。みんなの解釈を聞いてみたい。