あんず

君たちはどう生きるかのあんずのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

 結構序盤で長いな〜と感じた。話が単調、ほとんどが夢の世界。訳がわからないし、全てがラストで解明されるわけではない。鑑賞者に不親切な映画。金ローとかでみていたら恐らく途中で飽きて風呂に入っていたかも。そんでもってタイトルはどういう意味?君たちとは誰なのか、これをみた後世のアニメーターか。
 初っ端の火事で主人公が走るシーンが良かった。素晴らしい作画、臨場感。あとは主人公の重みで弛むベットのスプリングの描写も好きだった。逆にワラワラの作画にがっかり。美術学生が手ぐせで描いたカワイイだけのキャラに近い。宮崎氏があれで良しとしたのが分からなかった。
 今まで美しいものを描いてきた技術で怖いもの、不気味なものを描いた作品。鳥とカエルが苦手な人は注意。色んな作品の要素が感じられるしっかりジブリ風味の作品だから、ジブリ好きならその点楽しめる。でもこの作品単体で成立しているのではなく、今までの作品の点をなぞった線の作品であるように感じる。アオサギのとぼけた感じ憎めない感じはジブリらしいけど、それによって緊張感が緩む感じはむしろこの作品にあってない気がした。
 何が1番しっくりこなかったか、と考えると主人公に感情移入できなかった点。前妻を亡くして一年後に父親が妻の妹の腹に子供を作っている。不信感を抱かないのか?と思ったが、義理の母を嫌っていながらも"父さんの好きな人"だからわざわざ危険な旅を覚悟して探しにいく。産屋で死にかけた時に主人公は「お母さん!」と呼びかける、そして「お前なんか嫌いだ」と義母に叫ばれる。その後特に謝られることなく一緒に元の世界に戻って、ラストは家族大団円。主人公の心情が読めなかった。
 "作られた世界はいつか崩壊する""世界は微妙な均衡で成り立っている""来た道は戻らなければならない""戦いを経て人は手を取り合う""鳥は愚か""身籠った女は畏怖の対象になりうる"など、ある種の法則を観終わった後に感じた。
 作画はやっぱり綺麗。だから鳥が無性に怖くなるし映画を見終わって現実の風景があのシーンに似てるなど考えてしまう。
 声優陣、あいみょんの芝居の声が澄んでいて凛としたハリがあっていいなと思った。
宮﨑駿の晩作、今まで沢山の人を楽しませてきたからこそ、自分のやりたいことをするのは結構。でもこれを観たかったわけじゃないのに、というのが正直な感想。
観て数日でまだまとまっていないから、もう少し時間をかけて解釈していかなければ。この映画を観て、友達と2時間も喋ってしまったからそういった意味でいい映画体験をした。余裕ができたらまた観に行くかも。
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