浜一

君たちはどう生きるかの浜一のレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.8
★ファーストシーンから眞人の置かれている状況、彼の生きている世界が描かれていく過程。やがて不思議な世界が侵食してくる過程。そこにワクワクする自分がいた。やがて地下に広がる異世界に踏み込んで、引っ掛かる部分がありつつも眞人の冒険にドキドキする事はできた。引っ掛かりは正直、何にも解らないのだけど。色々なレビューを読んでも、YouTubeの考察動画を見ても観た人々の私見が述べられているだけで。何が正解なのかも解らない。でもそれなりにワクワクドキドキする事はできた。
★「もののけ姫」以降、ずっともっと理屈抜きの「血湧き肉踊る」活劇を観たいと願ってきた。「カリオストロの城」から「紅の豚」までは難しい「あのキャラクターは何のメタファーで・・・」とか「この作品のテーマは・・・」とか必要なかったのだ。老若男女揃ってワクワクできる作品を作る信用のおける作家が宮崎駿という映画作家だったのだ。「もののけ姫」から変わってしまった。「風立ちぬ」は大人の生き様、愛の有り様を描いた作品でまた系譜の違う作品で、あれはあれで好きなのだが。もう一度、理屈抜きの活劇を観たかった。
★どんな作家であっても、年齢を重ねると共に描く内容の選び方も変わってくるし、表現の仕方も微妙に変わってくるものだろう。例えそれが黒澤明であっても、スピルバーグであっても、勿論宮崎駿であっても。作家のファンはかつてその作家を好きになった頃のような作品を期待して新作を観がちだが、作家本人としては「勝手に期待されても~」なところはあるのかな?とも思った。
★ここからは出演者についての感想。どんなキャストなのかも伏せられた状態で鑑賞した訳だが、木村拓哉だけは良く分かった。彼の他の出演作で「キムタクは何を演じてもキムタク」という意見を良く聞くが、声のみの出演という形をもって、この意見を実証してしまったのではないだろうか。逆にカメレオン俳優の面目躍如だったのはアオサギ役の菅田将暉。声のみの演技で、映画賞の助演男優賞を狙えるのではなかろうか?
浜一

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