浪川リオン

君たちはどう生きるかの浪川リオンのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

『プリデスティネーション』の時も全く同じ前置きをしたんですが、仮に面白いかどうか、自分が好きそうかどうかをレビューのチラ見を参考にして観るかどうか思案してる方がもしいらっしゃるのだとしたら、それは本当に本当に勿体無い事をしてます。

せっかくいかなる前情報も、予告編もキービジュアル的な物さえも無しで日本が誇るアニメ界の巨匠の作品を見られるのだから、そこは是非とも素直に何の予備知識も無しで、どんなストーリーなのか全く見当もつかないまんまの状態で映画館に行って新鮮な感動を受け取りましょう。そんな経験きっとこの先の人生で2度あるかどうか分からない貴重なもののはずです。
間違っても岡田斗司夫とかホッカイロレンの評論動画なんか見たらダメです。今すぐこのアプリを閉じて最寄りの映画館のチケットを購入しましょう。

(……ところで岡田斗司夫の妄想語りを何十分も見てられる人を私は本気で尊敬します。私の脆弱な精神ではあの内臓脂肪の量が半端じゃ無さそうな冴えないツラのオヤジが一人勝手に悦に入って喋ってるのを眺めてるだけの時間に数分と耐えられず発狂してしまうと思います。何となく電卓いじってる方がまだ楽しいような気さえしますが……
氏のYouTubeをチャンネル登録されてる方は子供や配偶者を人質に取られてるのか、もしくは精神的なマゾヒストだったりされるのでしょうか)



※以下、一切遠慮の無いネタバレ※











映画が終わってヨネちゃんの美しい歌声と共にスタッフロールが流れ出したときの、飾りっ気なしのストレートな私の感想はコレだけでした。

『……ハァ!!??💢』

自分なりの勝手な解釈だと、
大叔父様 →宮崎駿監督
マヒト → 宮崎吾朗
塔→ スタジオジブリ、またはアニメ業界
大叔父が積み木で作った世界→ アニメーション表現そのもの
鳥→ジブリに入社したor影響を受けたアニメーター

というメタフィクションであり、この映画が表してる事は「ホントは息子のゴローにジブリ任せたかったけど、それは自分のワガママだからこのまま勝手に崩壊、風化させとくね。でもお前は自分の人生を好きに歩んでいいんだよ。あとウチにいたアニメーター達も好きなとこに、自由に羽ばたいて行っていいんだよ」
という宮崎駿監督からの身内、またはアニメとアニメーター、またはそれを志す人達と長年のジブリファンへの最後のメッセージであり、そしておそらくは遺言なのだと思う。……少なくとも、私はこの難解で荒唐無稽なファンタジーをそう解釈しました。

石の欠片を持ち帰ったマヒトに対して「段々忘れる」と言った事なんかきっとアレでしょ。ゴローの『ゲド戦記』でのやらかしに対する駿監督からの慰めと励ましでしょ。

で、そういうメタフィクション構造をやるのは別にいいんですがそういう事一切抜きで見るにしても、または自分のように「このインコの将軍はもしかして庵野秀明のメタファーか?(石の積み木を剣で切ったのはアニメじゃなく実写映画の世界に移行した庵野監督への叱咤激励か皮肉か何かか?)」だとかメタフィクション構造である事を存分に意識しながら見るにしろ、この映画は物語としては全然、さっぱり、何一つ面白く無かったんですよ!!!!!!!

キャラクター達はどいつもこいつも行動原理が謎過ぎて感情移入できないわ、抽象的で意味ありげなシーンばっかりの割に最後まで特になんの伏線にもなってないシーンがあるわ (あの石の古墳みたいな墓の場面です。あのシーンの解釈や考察の在る方はコメントしてもらえるとマジで喜びます)、大叔父と話してたはずなのにいきなりインコに急に捕まってるわ(ホントに自分が無意識に寝てたのかと疑いました)もう本当についていけない!!! 観てる間、本当にも〜〜〜う気が散る気が散る!!! 本当にも〜!!! も〜〜〜!!! ……牛🐮(姫野先輩)

躍動感と絵の美しさが日本、いや世界最高レベルなだけで何の物語にもなってない、死ぬほど金と時間をかけたダイコンフィルムだなってのが現時点での私の正直な感想です。何やこの訳分からんアニメ!! 劇場内が明るくなった瞬間のあのメチャクチャ気まずい空気感が一番面白かったわ!!!


……とはいえ、本当に本当にどの場面の背景の絵も美しく、人物の表情の変化、モブ達の本当に生きているかのような動き、美味しそうな料理、飛ぶ鳥、放たれた矢を目で追う気持ち良さ、ダイナミックな船と海の躍動感……
どの場面もジブリそのものであり、おそらくは二度と新しい作品からは味わえない物であるなと思うと本当に言いようのない寂しさともの悲しさが胸を満たしました。
数多くある宮崎作品のセルフオマージュのような既視感ある場面も、監督からの最後のファンサービスなのかもしれない。

前述のメタフィクション構造の仮定が的を得たものだとして、身内やアニメーターへのメッセージをわざわざアニメ作ってよこすだなんてまさしくアニメ界の巨匠に相応しい所業だと思います。

幼き日よりユパ様の剣さばきに興奮し、崩壊してゆく巨神兵のキモ怖ささに尿をちびらせ、ラピュタのシチューの場面に腹を鳴らし、ジャパニメーションそのものにハマった母が「話題作だから」と借りてきた『AKIRA』がグロ怖すぎて尿をちびらせ、夜眠れなくなり口直しにこっそりトトロのサツキちゃんが大トトロに掴まれる場面※を見直して心を癒やした私は、世界に何万人といる宮崎駿監督の子供のうちの一人です。

宮崎駿監督、これまで本当にお疲れ様でした。

パンチラ回数:0

※あのシーンジブリ作品で一番エロいと思います