きゃーみ

君たちはどう生きるかのきゃーみのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.7
この作品が賛否両論に分かれる理由は、鑑賞者が自分の「無意識」(=影)を意識化しようとしているか否かにゆだねらるからでしょう。

ジブリ作品に登場する不思議な生き物たちは、私たちの普遍的無意識に生息しています。決して私たちの外側にいるものではありません。子どもがジブリに魅せられる理由は、その視覚的魅力だけでなく、子どもの意識と無意識がまだ乖離していないからでしょう。

監督本人がご自身の無意識をどこまで自覚して創作してきたかは推量しかねますが、いずれにしてもユング心理学に通ずるものがあります。興味を引かれた方は、検索してみてください。

私たちが抑圧した気持ちは、無意識に追いやられます。その無意識が私たちの意識や身体を揺るがします。ジブリ作品に登場する一見恐い生き物は私たちの内側にいるのです。なかったことにはできないのです。良くも悪くも。

人が心理的に成長するということは、無意識にある感情をきちんと意識化していくことと同義です。

映画は全体として監督らしいアート作品に仕上がっていますが、音楽がいまひとつに感じられました。音楽と物語の相乗効果的な盛り上がりがなかった。この感想を更新するためにももう一度映画館に足を運ぶのもありかなと考えています。
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