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君たちはどう生きるかのwksgknchのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ネタバレしてもいいのかどうなのか、1ヶ月くらい経たら良い気もするし、検索するともう解禁して考察の嵐だからいいのかな。ただ、内容の話しというよりも宮崎駿さんを取り巻く関係や考察に終始しそう。

いつもの映画部の課題映画でした。

おそらく宮崎駿さんが自ら手を動かす作品として長編は最後ではないか、御年82歳。余談だか父と同年、そう考えるとまだ大丈夫かとも思うが。
そんな事情はさておいて、ジブリは観たいと思う。多くの日本人にとっても気になる存在ではないか。若い子はどうなんでしょう?

自らもわからないと仰っていて、確かに観る人にとってどう感じるか、いつみるか、状況によって受け取り方が変わる物語だと思った。
それは宮崎さんによる壮大なメッセージであると後に感想会で感じたからであり、分かりやすく社会問題や環境問題を扱っておらず、解釈が一見難解だからだろう。

現実でマヒトが抱えている思いや悩みが、そのまま異世界の出来事と繋がり、問題を解決していくことで己を克服していく、"大人"になるイニシエーションだと感じた。主人公の隣に見守り、アドバイスをくれる相手がいるというバディ物だが、ヒミというやはり明朗快活な女性(ステレオタイプ)が登場するが、今回はアオサギがいる。同性?は珍しい気がする。アオサギは登場の印象としては気味悪く、謎の存在で今回はミステリーか、と思ったが、急におじさんになって、次第に味方になって、愛すべきキャラになっていくのは面白かった。異世界では正直になってしまうのかもしれない。
それぞれが適したタイミングで相互に補完、選択を繰り返しながら物語は進み、主人公は成長していく。

これまでの作品における風景やシーンの多くは美しく、食べ物もとても美味しそうに見える表現だったのに、もちろんグロテスクな表現、切られたりなどもあったが、本作は比率として多かった気がした。いやしかしヒミのシーンはやってることは醜悪でも美しかったといえばそうだ、表裏一体であるし、現実を直視しろ、ということでもある。

世界を作っている神(大叔父)の存在と対峙し、マヒトの関係はアニメではわかりやすい父子の関係だが、宮崎駿と吾郎、庵野さんや多くの宮崎駿によって産まれたであろうアニメーター達へのシーンだろう。石が絶妙なバランスで積まれている-異世界の秩序を保っている-が、これは宮崎さんのこれまでの作家としての人生を表現しているし、鑑賞者にとっても同じで、仕事や人生の比喩として分かれる道や石を積む、階段を登るなど色々あるけど、明らかなそれで、最後の選択を迫られる。
それで映画としては大団円。
しかし、それを観た私達、残された私達は、まさにタイトル通り「君たちはどう生きるか」と突き付けられたわけで、観終わって少し放心状態に陥った。アニメ業界ではないけど、巨大な先達はその後に続くものたちにとって、道を開いてくれた存在であると同時に大きすぎる壁となる。

声優として参加している方の声が本人そのものにしか聞こえず、ちょっとノイズに感じてしまった。惜しい。
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