708

君たちはどう生きるかの708のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

自分なりに解釈できたことをまとめます。

【ストーリー】
主人公は火災で母を亡くす。父と叔母が再婚するが、継母となった叔母を内心では「母」と認められず、父が叔母を好きであることも快く思っていない。そんなある日、一羽のアオサギによって、叔母とともに別世界に招かれる。そこでの体験を通じて、実母への未練と決別し、継母を「母」として受け入れるようになる。

【メッセージ】
この映画の主題は、宮崎駿監督の過去作「未来少年コナン」「風の谷のナウシカ」などの流れを汲んだ、地球環境問題への警鐘だと考えられる。劇中の積み木は、生物やその周辺環境の絶妙なバランスによって成り立つ「生態系」を表しているとすれば、眞人に投影された私たちが今後の積み木との付き合い方を考える、というのが「君たちはどう生きるか」に他ならないのだと思う。大叔父さまが積んで来た積み木が本来の生態系機能だとしたら、大叔父さまや別世界が最終的に消滅したことは、気候変動や生態系破壊はすでに取り返しのつかない段階ということを表しているのではないだろうか。また、別世界に登場するインコやペリカンは、かつて大叔父さまが持ち込んだものが増え過ぎたとされているので、やや直接的すぎるが「外来生物」と考えられそう。インコが大叔父さまのいるジャングルのような部屋に入った際に喜んでいたのは、故郷の環境に近かったからと思われる(インコはオーストラリアの乾燥地域原産らしいが、熱帯っぽいという雑なイメージには合致する)。眞人、ナツコ、キリコの3人が別世界に迷い込んだ理由としては、実際の環境問題に対してそれぞれの世代に責任がある、ということを伝えたいのだと考えられる。時代背景が戦時中であったり、眞人が元の世界に帰る選択をした際に大叔父さまが「いずれ火の海〜」と発言したりしたことは、「風立ちぬ」にも通ずる、科学技術へのアンチテーゼかな。

【雑感】
ストーリーは薄いが、メッセージに関しては歴代監督作品盛り合わせのような印象。今作はより現代の課題に合わせてアップデートした部分もあるが、地球は一つの系であり人がその系のバランスを乱してきた、という環境観が宮崎駿監督の一貫した思想として、受け継がれているのかなと思った。「悪意」についてはよく分からなかった。
708

708