もんたろう

君たちはどう生きるかのもんたろうのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.3
『風立ちぬ』が父の話なら本作は自分の話ということですね。
つまり庵野秀明が10年の時を経てキムタクになったと言うわけだ!
いつの間にか禁煙したみたいですね。あんなヘビースモーカーだったのに。。。

もはや十八番の勇敢な少年の冒険譚ですが、少々趣きが異なります。
定番中の大定番であるボーイ・ミーツ・ガールがバッサリ切り落とされてます。
勿論映画としてはヒロインが2人います。
ただそのヒロインってのは実の母親であり、実の母親の妹である継母なのです。
いやはやいやはや。
傘寿過ぎた御大、ここにきて【思春期マザコン拗らせモノ】を持ってきましたよ。。。
恐るべし宮崎駿。
いや、本作では宮﨑駿か。

思い返せばこれまで母親ってあまり描かれてませんね。トトロと千と千尋で少しってところでしょうか。
ポニョは未見なのでわかりませんが。。。
まあこの話はこの辺にしとくか。

好きなシーンはワラワラ達が新たな生命として昇っていくところですね。
一見生との死の狭間の様に思われる世界ですが、あくまでここは生の再生産が行われる世界ということになります。
ワラワラが昇っていくのは久しぶりだということをキリコが言います。
この世界が時間軸を超越していることを踏まえれば、宮﨑駿が現在においての未来に希望を持ってほしいというメッセージなのでしょう。少なくとも私はそう受け取りました。
勿論、老ペリカンの様な警鐘もセットではありますが。

友達を作る、と意志を固めた少年ですが、映画の中ではサギ男以外に明示的には出てきません。
そして映画のラストは引越です。ポケット中にあったのはおそらく持ち帰った石なのでしょう。
関係のリセットを意味する引越に加えて持ち帰った石。良くも悪くもサギ男を超える友達は出来なかった様です。
でもそれで充分。充分だよ、眞人!
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