いくらヤケクソになっていたとしても、「インコ大王様」はあからさま過ぎて面白かった。
塔が象徴する、エコロジー/ユートピア的世界。それは維新後、近代化と脱魔術化(=宗教的世界の否定)によって対立概念として生み出され、大叔父(=宮崎駿)もそこにすがりついた。宮崎駿が作り上げたアニメーション世界の確立には、多大な犠牲もあっただろう。
しかし現代では、アニメーションはただただ消費される(=わらわらのように食べられる)文化に成り下がり、現実は何も変わらなかった。加工された肉を食べ、生き物の解体も殺しもできず死んだように働き、たまに現実逃避として片手間でアニメーションを貪るアパシーな人間を量産した。
宮崎駿は最終的に塔を壊した。デフォルメされたインコの糞を撒き散らして。その心中や察するのも躊躇われる。
(ただ、最後に真人に御守りとして持たせたところに泣ける)
君たちはどう生きるか。
宮崎駿の作品は大好きであるが、自己否定と無垢な鑑賞者への語りかけを強く感じた。