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君たちはどう生きるかの寿司のネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「母(愛情)の喪失によって強制的に大人になることを求められた、心中には秘めた幼児性がある主人公」って、『トトロ』のサツキや『魔女の宅急便』のキキみたいなんだけど、主人公の眞人が(戦時下という時代性もあってか)まっすぐ寡黙に耐えている前半はなぜかむちゃくちゃ共感できたし面白かった。というか冒頭10分は全ジブリで一番好きです。
もしかするともう一人くらい、主人公に対比させるような(『トトロ』のメイ的な)存在がいたらわかりやすくなってたのだろうが、あの眞人の、なんというか、社会のすべての不幸を自分で全て背負ってやるみたいな(無論そんなことどだい不可能なのだが)顔つきのためには、一人でいることが必要条件だったのだろう。それだけに下校中の無言自傷行為は初見はかなり衝撃だったが、振り返ってみればかなり現実的な行為のように感じた。なんというか、この辺りの「説明」を丸々カットする、絵で見せるというか観客を全信頼してるのがすごい好きでした。
ただ後半は…特に一度現実世界の扉が開いて父親(あの圧!マジうざい!)の存在を確認する一連のシーン。あれいるのか?ジブリって、これまで「異界と現実の越境」みたいなのをかなり繊細に描いていた気がするだけに、そこは自分の理解ではクエスチョンマークでした。
そういえば書きながら思ったけど、ジブリの、あのなんというか月に照らされた明るい夜の描写がやっぱりむっちゃ良い。老いたペリカンが自身とその種を静かに呪うシーン。『トトロ』の芽がでるシーン然り、『もののけ姫』のタタラ場で病気の家を訪ねたり「黙れ小僧」シーン然り。静けさの反面、心中の情動がうねってるというか。マジで発明だと思う。
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