まちまおまるこ

君たちはどう生きるかのまちまおまるこのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.6
戦後日本に翻訳され今も図書館の海外児童文学の棚にそっとささっている王道の「児童文学」。少年の、行きて帰りし物語だなあというのが最初の感想。ただ、あまりに狂気じみていてたくさんのことがあって。
魚の腹をずずっとさばくのとか、蟇蛙に覆われるのとか、後ろ手に刃物をもったインコたちに追われるのとか、解像度が高すぎる事件が次から次へと出てきた。そうだそうだ、宮崎駿はこうだった、気が狂いそうな長い悪夢が続くのだった。後半は、早く俗世に戻りたかった。

帰って、数日経って、いろいろな人のレヴューを読んだり感想、解説を聞く。ポッドキャストの『無限まやかし』、TBSラジオ『アフター・シックス・ジャンクション』(”鳥”映画としての凄さ)は面白かった。
「本を読み過ぎて頭のおかしくなった大叔父」の目指す正しい世界を否定して、悪意も間違ったこともある現世に帰る選択をする。それでも生きていく。
なるほど。
観終わってからいろいろ思い出して考えて楽しむ、というのが良い映画の醍醐味なのかもしれない。
noteで、宮崎駿の両親について書かれていたものを読み、眞人の父のことを改めて考えた。軍需で潤ってお金でなんでも解決しようとする人。妻を亡くしてすぐにその美しい妹と再婚する(おなかに既に赤ちゃんも)という短絡的な父だと思っていたけれど、宮崎駿なりに父を見つめてつくりあげた物語なのかもしれない。

自分の息子が小さい頃、『崖の上のポニョ』のそうすけに似ている、と言われたことがある。今回の眞人を見ると、やっぱり息子に似ているなと思う。ということで、ヒミさま目線で一緒に走ったり火をあやつりながら2時間駆け抜けたような気がしたのでした。
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