"ジブリ版スターウォーズEp.IV"
- 少年よ、仲間を集めろ。-
涙を呑んで過去と別れ、使者に導かれ新たな世界へ立ち向かう。古今東西の神話から『スターウォーズ』『ロード・オブ・ザ・リング』辺りの名作映画にまで共通するプロットの黄金型。そうした「ヒーローズ・ジャーニー」の骨子に、宮崎駿のアニメーション哲学が凝縮されて放たれる、新感覚の"アートフィルムな英雄譚"だった。
宮崎駿の心象風景を旅するような視聴体験。どこかノスタルジーを彷徨いながら、人生を問い直されるような感覚になる。過去ジブリ作品を想わせるシーンが丁寧に応酬される作りは、宮崎駿なりの「ジブリアニメへの葬式」にも思えた。
時代が進むほど、人の「悪意」がむき出しになる外の世界。そのなかで「友だちを見つけます。」という生きかたは、悪くないと思った。
誰にでも拓かれた物語でありながら、来るもの一人一人の感性に問いを与える。高貴なフォースを帯びた現代神話。
13の積み石は、14つ目の石によって崩される。
なんて美しい生きざまだろう。
