とりこ

君たちはどう生きるかのとりこのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0
夜の夢の中にいる時、病気にうなされる時、何かに立ち止まって動けないでいる時、こうした""離れ""の世界にいるんだなあと思う。次元と次元のあわいに存在する世界

""上の世界""で何も産み出せていないような時、自分を取るに足らないペラペラな存在に思えてしまうけども、そうした無為な時間でだってこうした""離れの世界""で必死で生きているんじゃないかと思う。観れて良かった。これはファンタジーの力、夢を見る力

(果たして""上の世界""からこぼれる者たちによって世界は回っているのかも知れず)


引き寄せられたのは子供を産む表現。出産は決して病気とかではないんだけど、生きていく者を産み出すことなのに、わたしの場合はこれまでにないくらいすごく死を近くに感じていた体験であったので夏子が""離れ""の世界に入ってく感覚にすごく共感した
宮崎駿監督は出産もされた事が無いのによくお分かりで流石の感覚だなあと感心してしまいました


確かに各キャラクターの掘り下げは具体性を欠くけれどもその分物語の抽象性が高まってある種神話的でありそれはそれでよかった
作画も好きだし、森の表現はこの上なく美しいし、何と言っても火の表現の新しさね!魅惑的で怖ろしく神秘そのもの。設定もギミックも意匠も建築物もいい。あとだらりと生命力のない母たちの姿(夏子?ヒミ?)がなぜか好き。心が掴まれる

ラピュタのように何度も何度も観たいかと言われればラピュタ程では無いにしろハウルくらいには定期的にその世界に遊びたいと思う
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