『私たちはどう観たのか』
(以下の文章は23年11月に書かれたものです。24年4月時点で特に考えに変化のないことを表明しておきます)
なんとか上映期間中に見ることが出来ました。
世間では評価がぱっくり別れている印象で、ドキドキしながら観に行きました。
なるほど。
これに低評価をつけた人は、第三幕がクライマックスと言うにはあまりにもあっけなさ過ぎるからでしょうか。あるいは第二幕の場面転換が急過ぎて飲み込みづらいとか。
私は割と楽しんで観られました。
二人のヒロインの造形が、強い女性と可憐な少女、というのは何度目なんでしょうか。生成AIに「宮崎駿映画の脚本作って」と頼んだんでしょうか。
前半の仄暗い雰囲気がとてもとてもいい感じだったのに、そこから普通に異世界に行くのがちょっとだけありきたりに感じました。なんか「ポニョっぽい」とかちらっと思いましたよ。
そもそも、これを見て舞台が戦時中である必要性があまり感じられなかったのがすごいです(その後主人公がハヤオの投影らしいと知ってほんの少しだけ納得)。
前作のタイトルが「風立ちぬ」というのもなかなかだとは思いましたが、本作のタイトルも大概です。本作はまずこのタイトルでつまづきそうです。
例によって芸能人吹替えのオンパレードな訳ですが、事前にまったく宣伝をしない場合、芸能人吹替えというのはどれくらい意味のある事なんでしょうか。
まあ全体的なキャスティングや米津玄師なんか全部鈴木敏夫の差し金感が強すぎます。
皆さんスダマを褒める割に木村拓哉を認めていないようですが、キムタクだって青サギやらせりゃ多分想像以上の青サギやったはずですよ。
ああいう役をやらせなかった(旧)ジャニーズが悪いのか、やらなかったキムタクが馬鹿なのか。
ま、キムタクは違うかったな。
「ここトトロっぽい」とか「ラピュタっぽい」とか既視感が度々襲うのは、ハヤオにもこれが最後という意識があったんでしょうか。まさか手癖で作ったとかじゃないよね。
今じゃ次回作に向けて構想中、らしいけど。
もう作画やら背景やら、さすがの一言でした。超々一流のスタッフが五年も六年も拘束されて、なおかつ演出がハヤオって、想像しただけでも苦労が忍ばれます。これだけのクオリティをまざまざと見せつけられるとやはり頭が下がるのですな。
ご苦労さまでした。ありがとうございました。
劇場にて。23.11.08
2023#011