Masato

マダム・ウェブのMasatoのレビュー・感想・評価

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)
3.3

SSU最新作。少し昔の2003年を舞台に謎のクモ男に追われる女性たちを描いたスリラー。

海外でのモービウスを超えてトランスフォーマ−5に並ぶレベルの酷評で日本を含めて話題になっているが、期待値を下げて見たのもあって個人的には海外での地の底みたいな評価ほど酷くは感じなかった。だが、ひどく評判が荒れてるのも納得の出来であることは確かだった。

まずはこの映画をMCUまたはそれと似たようなヒーロー映画だとは思わないほうがいい。エゼキエル以外のスーツ姿のシーンは予告編にあるものが全てだと思っていい。そこが海外での不評の原因だろう。まるでドラマのシーズン1のような、ヒーローオリジンですらないと言っても過言ではない続編前提の序章な内容なのが残念。

なので、まだ能力が完全に目覚めていない人間たちが僅かな能力を頼りにクモ男にずっと付け回されるのを回避していくスリラー映画として見たほうがいい。そう考えるとそれなりに楽しめる。ミステリーと謳っているが、ミステリー調なだけでミステリーではない。

何もかもが中途半端だと思う。この手の物語で進んでいくのであれば、エゼキエルの素性や視点、キャシーの母親のことを最後まで隠してストーキングホラー要素のあるミステリースリラーにするのがいいと思うし、そうしたくないのなら、もっとアクションを増やすべきだと思う。どっちつかずの作りをしているからどうあがいても肩透かしになり、終始盛り上がりの存在しないのんびりした映画になってしまっている。少なからずヒーロー要素ある映画としては、あのエゼキエルの倒し方は失笑するしかない。

このMCUのヒーロー映画ブームの潮流を利用するかたちでこの作りのヒーロー映画を作ってしまったことが愚策というか、これが2000年代に公開されていたらIMDbのスコア3.8なんて酷い言われようではなかったと思う。5.2くらいだったと思う。(それも酷いか)

映画的には、言われていた編集の悪さはそこまで感じられなかった。たまに笑ってしまうような変なカット割りがあったけど全体的には普通。演出も悪くない。トランスフォーマー5や96時間3に比べたらマシ。どういう映画を作りたいのかという根底の部分がグラグラすぎて、良い作りを目指そうとしても、どうしても足を引っ張られているといった感じ。これで予算80Mドルはちょっと考えられない。45Mドルくらいの予算感の映画。

キャストは良かった。ダコタ・ジョンソンという演技派の起用をリーダーとして、その周辺にこれからの俳優であるイザベラ・メルセード、シドニー・スウィーニー、セレステオコナーというビジュ爆発してる俳優たちを起用していて、演技とビジュアルともに文句なし。それ故に映画の出来が悪いのが勿体ない。

余談
序盤のセレステオコナーが救急車の前に来た時のカチカチ変わりまくるカット割りなど、特に序盤においての会話シーンのカット割りが酷かった。
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