社会のダストダス

マダム・ウェブの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)
2.5
本作をミステリという勿れか

ソニー・ピクチャーズのマーベル作品は、MCUに組み込まれているスパイダーマンは観ているけど、他はヴェノムの2作目を何故か気まぐれで観ているだけで、あまり馴染みがない。

したがって、通常ならスルー案件だったのだけど、ジャンルはミステリー・サスペンスで、好きな女優がたくさん出ていてパラダイスなのと、ユニバースものじゃなく独立した作品らしいということで、予備知識なしでもそれなりに楽しめるかと期待していた。

主演はダコタ・ジョンソンで主な出演作でいえば『サスペリア』(2018年版)などが好き。『インスタント・ファミリー』のイザベラ・メルセードちゃんや、シドニー・スイーニーやちょい役でエマ・ロバーツなど画面が美女で埋め尽くされて最高かよ!となった。

ペプシコーラがやたらと映るのでペプシマンがヴィランとして出てくる伏線かと勘繰ったが、本作のヴィランは黒いスパイダーマンみたいな全身タイツ男。昨今のスーパーヒーロー映画は悪役の思想も崇高になりがちだが、NYで毎日数百件は起きている強盗事件の犯人みたいな動機の浅ましさは、停滞する同ジャンルにおいてはむしろ斬新かもしれない。

それなりにツッコミどころが多い映画で、なかでも面白いのは前述のペプシコーラのほか、途中で“手に入れる”タクシー。黒タイツ男から逃げるためにやむなく盗んでしまうのだが、その後ナンバープレートを外して大事に乗り続ける。途中キャシーは海外に行くこともあるが、戻ってからも乗り続ける、グランド・セフト・オートみたい。そもそも誘拐犯呼ばわりされて、監視システムで探されてるのに出国できるのかなども気になるところ。

主人公の見る予知と悪役が見る悪夢が物語が進んでも全くリンクしなかったりとちょっと歯切れの悪い印象。展開はずっと鬼ごっこなので少なくともミステリーではなく、じゃあサスペンスなのかと言えば予知能力が上手く機能しすぎているため、あまりハラハラする場面もないというジレンマを抱える。

全体としては正直微妙だったけど、イザベラ・メルセードちゃんがダイナーのテーブルの上で踊ってるのが可愛かったりと良いシーンもあったので、もっとイザベラちゃんを増し増しにしてくれたら5点満点付けてたかもしれないです。映画として嫌いになりきれないのは、古き良きポンコツアメコミ映画感が充満しているからかな。