ゆめたろう

マダム・ウェブのゆめたろうのレビュー・感想・評価

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)
2.8
盛り上がりどころで盛り上がらず、いつの間にか終わっていた。この脚本にGOサインが出て公開までたどり着いたこと自体が奇跡のようであり、後世に語り継がれるであろう21世紀のアメコミ映画のヘッポコ枠に燦然と輝くのでは。

「ボーはおそれている」は意図した狂気だが、本作は自然な狂気。自然な狂気がヘッポコへと変容するダイナミズムを目の前にしてはどこか愛嬌すら覚えてしまう。まごう事なき駄作なのは誰しもが認めるところだろうが、これがどうも嫌いにはなれない。

マーベル初の本格ミステリー・サスペンスの是非は置いといて、未だ解き明かせないミステリーを数点あげると、
・エゼキエルがスパイダーウーマンに殺される理由。
・ボコボコでナンバーを外した盗難タクシーをいつまでも乗り続ける意味と、隣町に行くかのように気軽にアクセス可能な南米ペルー。
・真面目女子も思わずダイナーのテーブルに土足で上がり、踊り狂わせる魔性のナンバー「TOXIC」。
・監督のインタビューではウォン・カーウァイ の「花様年華」のトーンを参考にしたらしい。(そっち??)

とは言いつつも鑑賞時のモヤモヤ感すらエンディング「dreams」のあっけらかんとした爽やかさに頬を引っ叩かれ、ちゃぶ台をひっくり返すような投げやりっぷりに唖然としつつ、ツッコミどころや物語の破綻具合すらどこか可愛らしさに転じてしまい「まぁ...いっか!」と劇場を後にしました。