シネマの流星

シティーハンターのシネマの流星のレビュー・感想・評価

シティーハンター(2024年製作の映画)
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最初の10分は良い。80年代ではなく令和の新宿を舞台にしているのが正解。どこぞの怪獣映画のように現代人が戦後を描くと無理がある。ルートを誤ると遭難するが、今回のシティーハンターはアプローチが正解。そして鈴木亮平が見事。実写化の最難関である冴羽獠を演じ切っている。モノマネてはなく令和の冴羽獠を演じながら匂いを残している。キャラへの愛がある。

しかしプロレスと同じくヒール(悪役)を演じられる俳優が日本にいない。獠と槇村(安藤政信)、冴子(木村文乃)の素晴らしさと対照に悪役がショボすぎる。シティーハンターは悪役は重要ではないが、善玉の役者が素晴らしすぎるので、どうしても目についてしまう。

後半に向かうほど失速。シティーハンターはGET WILDという頂上までいかに登山ルートを描くか。これは下山。アクションに寄りすぎて心がない。全体的に愛が足りない。普通のアクション・スリラーでシティーハンターじゃなくても良くなってしまう。

シティーハンター=GET WILDだが、最も世界観を表しているのはSTILL LOVE HER。この曲が似合う物語かどうかで出来は変わる。コルトパイソンは単なる拳銃ではなく、愛と哀しみの放熱でなければいけない。

グアムで本物のコルトパイソンを撃ち冴羽獠に憧れて新宿に住んでる身から言わせてもらうと物足りない。銃声=獠の心の叫び。RUNNING TO HORIZON。ホライゾンは地平線ではなく荒野。この映画には新宿という荒野がない。

鈴木亮平は何度も観たいのでリベンジ求む。今度は新宿を誰より理解している新海誠に監督を依頼してはどうか。
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