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シティーハンターのプライのレビュー・感想・評価

シティーハンター(2024年製作の映画)
3.6
北条司さんの大人気漫画『シティーハンター』の実写化作品。

開始数秒で冴羽獠に見えてくる鈴木亮平さんと、段々と槇村香に見えてくる森田望智さんの好演。アクションはユーモアとカッコよさが入り混じって爽快感があり、攻撃に移る動作にまで細かな演出が施されて面白さが持続する。シティーハンターの実写化を具現化するための材料は揃えて発揮された…かに見えた。だが、シリアスパートとギャグパートの間に悪い意味でギャップが生じて世界観がフワフワしている。さらに、冴羽獠と槇村香以外のキャラクターの扱い方が粗雑で全く興味が植え付けられない。それなのにストーリーを進める役を任されている。凄く良い箇所と凄く悪い箇所が混在しており、かなり歪な実写化作品となっている。

実写ながらも鈴木亮平さんは開始数秒で冴羽獠に見えてくるし、森田望智さんは段々と槇村香に見えてくる。ボケかます時の勢いが本家アニメと似てる。鈴木亮平さんに至っては声まで冴羽獠に聞こえてくる。

アクションは爽快感がある。鈴木亮平さんの動きが華麗。四方八方に散らばる敵をバリエーション豊かに撃破するため一瞬も見飽きることがない。そして、敵への攻撃だけでなく武器を装備したり銃弾をリロードしたりする瞬間に逐一、ユーモアとスタイリッシュで魅せるから視覚的な面白さが持続する。全体的にデヴィッド・リーチ監督作のアクションを優等生バージョンにしたような感じである。

世界観の空気はチグハグ。ギャグパートとシリアスパートの間に悪い意味でギャップがある。シリアスパートにて敵や一般人が死亡する際には誰もが悲惨な最期を迎えるため、それを見せられた後にギャグパートでアニメとほぼ同等のボケをかまされてしまうと別世界に飛ばされた感じになり、とても地続きある世界に見えない。かといって、ギャグパートがつまらないわけではない。むしろ、面白い。だが、舵の切り方が強引すぎて世界観の構築が見えてこなかった。観ていて面白いけど、ずっと世界観だけはフワフワしてた。これが漫画及びアニメでは出来て、実写に出来ないことなのでしょう。

物語について言及すると登場人物の扱い方が粗雑。「実は私、敵でしたー。テッテレー」というキャラクターが多く登場するけど、そもそも本作の画面は冴羽獠と槇村香が大半を占めている。ほぼ登場せずに全く興味を植え付けてないキャラクターに不意打ちされても全く意外性がない。あと、エンジェル・ダストの説明が少な過ぎる。『シティーハンター』の漫画アニメに触れてない人に不親切。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐
星の総数    :計14個
プライ

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