かじドゥンドゥン

ヒッチハイカーKAI:手斧のヒーロー、その光と影のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

3.0
ドキュメンタリー映画。

路上で作業中の黒人に車で突っ込んだ後、それを救出しようとする女性を羽交い締めにした白人男性。そこに介入し、携帯していた手斧で男の頭をかち割ったのは、男の助手席に同乗していたヒッチハイカーの青年カイ。彼は、現場に駆け付けた記者からインタビューを受け、一躍ヒーローとなった。

その後、アメリカ国内を転々とするカイを支持・支援する者たちがSNS上で増え続け、各国のメディアも彼の行方を追った。しかし、ある記者がカイに密着するなかで、正義の人カイとは違う側面も見えてくる。特に、公判の中で明らかになったのは、例の殺人犯とカイが車中でともに大麻を服用し、しかもカイは、混合物が多く質の悪い大麻を運転手につかませて、彼が見始めた幻覚や全能感を煽ったということ。

さらに、ある老人が自宅で殺害され、その老人とカイが接触している姿が街頭の防犯カメラに記録されていた。こうしてヒーローから一転、殺人容疑者となったカイは、逮捕。カイ曰く、薬物を仕込まれ、意識が混沌としたところでレイプされそうになったので殺したというが、果たしてそれは真実なのか。過剰防衛とも言えそうな振る舞いをこれまでに繰り返しているカイにとって、暴力は手段なのか、それとも目的なのか。