ぼさー

私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・のぼさーのレビュー・感想・評価

3.5
「東京の都市部や臨海部のなかに身を置いてみて、そこで出会った人との対話を通じて自己を描き出そうとする試み」を鑑賞するといった趣きの作品だった。

自分もしばしば東京の都市部や臨海部のなかに身を置いてみて自分の存在を確認するという行為を行っていて、その行為の心地良さを感じているので、本作も心地よく鑑賞できた。

特に後半の臨海部のシーンはほぼ地元と言っていいエリアであり、僕自身が昔の写真を頼りに自分探ししているような気分で観ることができた。

本作では、目の前の世界には何かがあると信じて行動することの美しさが描かれていたように思う。消えては浮かぶ言葉も、世界の成立には意味があるだろうし、かといって触れた途端にはじけて消え失せてしまう泡沫のようにひとつひとつは些細な存在である。
その瞬間に脳内に浮かび上がった記憶や言葉、あるいは感情に意味があるように感じてしまうのは人間の特性だとして、それにこだわって追求していくことで物語は進んでいく。

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映画評論家 佐々木敦さん、北尾和弥監督によるトークイベント付き上映を鑑賞。

練られた脚本をベースに制作したのかと思いきや、結構場当たり的に制作したらしい。
ぼさー

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