numahd

私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・のnumahdのレビュー・感想・評価

4.0
映画の持つ虚構性。作家の脳内がカメラを通した「虚構」となってスクリーンに投影されているかのよう。
それぞれのシーンでセリフの密度が濃く、時に意図的にも感じるほど観客を突き放す。全体を思い出すとそこまでセリフは多くないのかと思うが、思い出すのは喋りのシーン。そここそが作家性というか、セリフの無いシーンでも「画が喋っている」という感覚。

初見時に監督と話す中で、監督の知人が「パトレイバー2」と例えていたとの話を聞きまさしくそれだ!と思った。あの映画で繰り出される失われゆく東京の風景とほとんど禅の世界とも感じるグダグダ喋りの押井守節は、確かに本作の持つ夢遊病的な感触に接続する。

物語の大きなプロットとして、「主人公が行って帰ってくる」というパターンがあるが、本作もその系譜であり、意識が作家の脳内を浮遊し、また戻ってくるという無意識世界のロードムービー。

体調万全でないと無意識世界に引きずり込まれ、首を折られる。首折り映画の誕生である。

北尾監督、お疲れ様でした!
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