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キングダム 運命の炎のレオンのレビュー・感想・評価

キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)
3.8
合戦シーン等見応えあるも、脚本・演出の随所に甘さが散見する。 2作目のレビューで山﨑賢人のシーン以外は荒さが目立つという内容を記したが、制作費を考えるとそれは致し方ないかなとは思う様に・・。

まず、馬車での逃避中に、幻想でタイムロスするシーン。
青臭い稚拙な脚本に感じて、冷めてしまった。 腕にかなりの傷を負っても冷静なのに、自身の幻影で取り乱す?・・。 その後の紫夏役「杏」のシーンに目を潤ませた方も多いようだが、前記がなければ逃げ切れたはず。自分も感傷的になったが、もっと必然的に追いつかれる脚本なら、納得なのだが。

台詞の言葉使いもおかしい。 大国の王になろうとする者が各武将が居並ぶ席で、自身を「俺」と語っては、その人物に重厚な存在感など抱かない。 かなりの史劇アクションを見てるが、最上位人物には字幕でさえも、我、世、わし等と記されている。 せめて「わたし」ぐらいにしてほしかった。
ちなみに、日本の天皇陛下は、終戦直前の御前会議で、各閣僚の前で、ご自身を「陳(ちん)」と称せられている。

それに王騎将軍の戦術も、単純なもので、その飛信隊が奇跡を呼ばないと成功しないような作・・。
等々、細部があれこれ気になり、大きな感動には繋がらなかった。

だが、制作費的にハリウッドがこの規模の作品を作ると、その費用は優に100億円を超える。 さて今作はというと、1作目で通常邦画の5倍(推定10億)、2作目で7倍(推定14億)かけたと制作サイドが語っていて、3作目も2作目に近いようだ。

邦画の制作費はハリウッドの10分の1という定説が如実に表れている。 要するに、主要人物以外のシーンまで資金や時間を掛けれない。 本当に剣が体に勢いよく当たるシーン等、画面の端では存在しない訳だ・・。

だが、今回も「山﨑賢人」は素晴らしかった。前半こそ台詞もほぼなく、存在感が薄かったが、戦場に移ってからは自隊を鼓舞する演説や、各シーンでの表情も、この役に没入している、自然な力強さを感じた。
まだ顔も体も線が細いのに、この存在感は貴重♪

あと「大沢たかお」の腕にはビックリ! ヘビー級の格闘家の様な太さに、ゴムなどで特殊メイクをしてるのかと、最初感じたが、首まで太くなっているのを後のシーンで発見して、本物の筋肉?と驚愕! 家に帰って調べたら、この人、一作目で18kg、2作目では23kgもウェイトトレーニングで増やしていたそうだ! そして今作では体が大きくなる度、衣装を何度も作り直したそうだ♪
作中、2度声を出して笑わせてもらったシーンも、明らかにエンタメタッチなのだが、チャラくならないのはさすが。

まあマイナス要素が気になり、前作と同じ★評価になったが、4作目も気になる事はたしか。 (4作目の方が、各武将の戦闘シーンに期待大か)

蛇足
高額制作費の実写邦画作品

「天と地と」(1990年)約50億
人物描写やドラマシーンが弱く、低評価だが、合戦シーンの陣形変化などは詳細で特筆物。

「乱」(黒澤明・1985年)約26億
全てのシーンが圧倒的な描写力! 実際に城の様な建造物を作って炎上させている。
米アカデミー4部門ノミネート

「敦煌」 (1988年) 約35億 
日中合作 日本アカデミー賞 7部門受賞

等々 私的には「乱」をオススメ♪
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