ぎー

キングダム 運命の炎のぎーのレビュー・感想・評価

キングダム 運命の炎(2023年製作の映画)
4.0
シリーズ三作品目にして最高傑作だった。
もちろんシリーズ一作品目の衝撃は凄かった。
ここまで原作をリスペクトしつつ、実写映画として最高のエンタメに仕上げる高難易度のミッションを期待以上に達成していた衝撃は凄かった。
ただ、シリーズ一作品目というインパクトは間違いなくあった。
それを差し引くと、本作は文句なしに最高傑作だったと思う。
そして原作ファンは皆予感している。
恐らく次作が本作を高い可能性で超えてくることを。
現代実写邦画シリーズで間違いなく唯一無二のシリーズとなった。
そのような高い期待感の中でこれだけのクオリティの作品を送り出してくれた製作陣には感謝しかない。

本作はとにかく人間ドラマとアクションのバランスが素晴らしかった。
前作も素晴らしい作品だったが、上映時間のほとんどが蛇甘平原の戦いに割かれていて、どうしてもアクション比重が高かった。
本作は原作の中でも最も感動的なエピソードの一つである紫夏編がしっかりと描かれていて、人間ドラマの描写も素晴らしかった。
紫夏編の描き方は完璧だったと思う。
どうしても丁寧に描こうとすると長くなり過ぎてしまう。
それを、政と王騎の会話の中で描くという構成は見事だったと思う。
確かにダイジェスト版ではあったが、しっかりと感情移入できる素晴らしい演出だった。

が、やはり本シリーズの最大の魅力は邦画で類を見ないスケールのアクションである。
本作では原作でも重要な戦いの一つである馬陽の戦いを描く。
これまでの作品同様圧倒的なスケールだったが、個人的にはこれまでの作品を凌駕していると思う。
特にテンポ感が完璧だった。
あれだけ広い戦場で、あれだけ多くの登場人物が戦っているシーンを、分かりやすく、でも、圧倒的なスケールで描いていた。
内容が濃厚すぎるゆえに本当に次作で終わるか不安にはなったが。

毎回鑑賞後思うことだが、キャストが豪華すぎる。
いよいよ映画版"オールスター感謝祭"の様相を呈してきている。
しかも、これだけキャストが
オールスターになっているのに、全てのキャスティングが適材適所になっている。
これは驚異的である。
原作ファンにもかかわらず、1人として疑問を抱くキャストがいない。
その証拠に蒙武など原作の超重要キャラクターであっても、知名度よりもキャラクター印象の類似度を優先したキャスティングがなされているように見受けられる。
そしてそして、李牧に小栗旬、龐煖に吉川晃司がキャスティングされたことが明らかになる。
完璧なキャスティングであると同時に、それを明らかにして映画を占める終わらせ方も、映画としてもマーケティングとしても完璧だった。

もう日本中が認知しているように、日本最強の邦画実写映画ヒットシリーズとなってしまった。
原作では13巻までが描かれており、このペースで行くと、20作品ぐらいにはなりそうだから、当分はキングダム時代となりそうだ。
完璧な原作があっても、完璧な実写化を作ることは極めて難しい。
ストーリーの再構築、脚色、演出をこのレベルで成し遂げてくれている製作陣には改めて感謝しかない。
本当に完結するのか不安に内心思うところもあるが、一生見続けたい映画シリーズなので、焦ることなく丁寧に丁寧に引き続き実写化していってほしい。
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