S3RI6

ゴジラxコング 新たなる帝国のS3RI6のレビュー・感想・評価

3.8
ゴチャゴチャうるさい輩には顔面にワンパン

モンスターバース第5作目、ゴジラ生誕70周年記念作品。
本作はアダム・ウィンガード監督によるモンスターバースのエクストラステージである。
昭和ゴジラを現代の最新技術で映像化したような作風は前作から継承している。

怪獣バトルで特筆するべきは、ほとんどが明るい環境で行われているところだろう。
戦闘も従来の作品よりかなり多め。アイディアも豊富で戦闘シーンを見るだけでも元が取れる。
新しい登場怪獣が意外にも多く、出番が少ない怪獣でもちゃんと街を破壊したり戦ったりで見ていて飽きない。

怪獣周りの描写は面白さに磨きがかかっていて、なんと今回はコングのシャワーシーンまで見せてくれる。
最初から最後まで狂っており、やはりNETFLIX版デスノートを手掛けた監督だけあって頭の悪いキャラクターを動かしたら最高のエンタメを提供してくれる。

興味深いのは、モンスターバースはこれだけの役者陣が出演しているのに人間のキャラは完全に背景として機能させている点だ。本作に限らず、この点において1作目から一貫しているのが凄い。
本シリーズは以前からドラマパートが酷すぎると思っていたが、実はこのバランスこそが怪獣を最も目立たせられる、ということなのかもしれない…いや、ないな。

個人的にはもっと東宝怪獣が見たい!とかカイルクーパーのOPがあっさりすぎる、とか全てがご都合がすぎるとか色々不満もある。
しかし、オタクだけでなく新規や子供も夢中になれるような作品が-1.0とほぼ同時期に公開されているのが素晴らしい。
そもそもゴジラシリーズというのはカオスであり、1つの作風や描き方にそれほど固執していないからだ。

思い返せば20年前のゴジラ50周年の頃はとても寂しい展開だった。
ろくなグッズもなく、ファイナルウォーズというある種狂った映画で幕を引き、ゴジラというブランドは世間から無視されて完全に死んでいた。

それから10年後、ハリウッドで復活し数々の怪獣とのバトルを見せ、ついにはあのキングコングと再戦するまでになった。
国内もシン・ゴジラ、アニメゴジラ3部作、テレビのシンギュラポイント、そして-1.0とハイクオリティで硬派な映像作品が次々に制作され、国産ゴジラでアカデミー視覚効果賞まで取ってしまった。
その直後に昭和ゴジラのような可愛いバトル映画がハリウッドから供給される。派手な70周年を迎えることができてファンとしてはただただ嬉しい。

設定がガバガバなモンスターバースが今後どうなるかわからないが、これからの10年も怪獣映画を国内外で作って欲しいと思う。
S3RI6

S3RI6