このレビューはネタバレを含みます
地底世界で暮らしていたコングだったが、未知の地底空間で彼の同族に遭遇する。
一方地上ではゴジラが何かを察知し行動を開始したのであった。
“モンスターバース”シリーズ5作目となる「ゴジラvsコング」の直接の続編。
怪獣の擬人化が進み、かつての昭和ゴジラにあった「吹き出しで会話するゴジラとアンギラス」を連想するようなレベルにまで至っている。
完全にヒーロ怪獣バトルものなので、シリアスでリアルなモンスター映画を期待するとその真逆のベクトルに好みも分かれそうだけど、個人的には昭和版のテイストを汲んだ「これもまたゴジラ映画」として楽しめた部分はあるかな。
しかしストーリーは中盤がやや遠回りというか尺稼ぎをしているしている感じもして、そのあたりはいまいち。
怪獣バトルがてんこ盛りという意味でのサービス精神はいいのだけど、コングの旅やゴジラの移動などはもう少しカットできたような気もする。
特にゴジラがエネルギーを蓄えるためにティアマットを倒すあたりなんて、「ティアマットは何も悪いことしてないやん」と"やられるためだけに出てきた"怪獣がなんだか可哀想な気さえしてしまった(苦笑)
あと本作はモスラが出てくるんだけど、登場シーンくらいはモスラのテーマ曲を使ってほしかったというのが正直なところ。
VFXはさすがのハリウッドクオリティ。
ただコングの暴れる場面はほぼ地底世界なので、巨大感を得るための対比物の大きさがいまいちわかりにくいのがもったいない。
そういう意味ではラストのリオデジャネイロのバトルは街中だったし、しかも日中のバトルだったのでその巨大さも含めて大いに迫力がありました。
本作の敵はスカーキングというコングの同族。
こいつも擬人化が進んでいて“ベタな悪役”といった行動が目立つんだけど、ゴジラとコングの相手というにはちょっと物足りない感じもするかな?
そういう意味ではスカーキングが操る氷結怪獣シーモとの組み合わせでゴジラ・コング組とバランスを取ってはいるんだけど、ここは前作のメカゴジラの様にもう一つパンチのある敵が出てきても良かった気はしますね。
半年前に公開された邦画の「ゴジラ -1.0」のシリアスさとは真逆のベクトルを持つ作品ではあったけど、これもまたひとつの「ゴジラ」として受け取れるキャラクターの懐の広さを実感させられました。