前作の問題点に最適解を出してきてくれた。
アダムウィンガードが巨大怪獣の扱いに慣れてきているのを肌で感じた。
撮り方に成長が見られたのが本当に良かった。
やはり巨大さの演出には人間の高さからのショットが欠かせない。これが怪獣の高さで演出してしまうと、人間と同じに見えてしまういわゆる等身大問題が起きてしまう。前作「ゴジラvsコング」のメカゴジラ戦周辺は特に残念で、もうレジェンダリー怪獣映画とは縁を切ってしまいそうなくらいだった。しかし、今作はかなり克服されていたので最高だった。基本的には人間視点に近い下からのアングルを意識していたのが感じられた。常々考えていたこの問題が解決されていたという面で、「これでいいんだよ！」みたいな爽快感を味わえた。多分この感動が鑑賞後の後味の良さに大きく貢献した気がする(本筋ではない)。
この問題が解決されれば、あとは脳筋バトルを楽しむだけだった。単純に圧倒的な物量で押し出してくるバトルは観てて楽しい。
あとは居場所を求めるコングと部族の少女の対応関係や、虫歯のシーンからくる終盤の意趣返し、ガキコングとの友情と、心情面での物語の動きが上手く描写されていて、モンスターバースの中では一番感情移入の余地があった。
そのなかで、冒頭の予告で使用された「Welcome to my world」と共に送るコングの野生生活が何となーくいつもと違う傑作臭を漂わせていてワクワクした。この生活感はコングという主人公を掘り下げる上で最適解なイントロだったと思う。どんな生物であれ、情を持たせるには市井の暮らしを知るとより効果的で、これをコングにも当てはめたのが巧みだったと思う。ここからのオープニングなのだが、これまた前作に引き続き本当にかっこいい。アダムウィンガードはイントロの天才かもしれない。
また、イントロも含め、前作で足りなかった地下空洞の掘り下げを今作がしっかりと担保してくれたと思う。ここはアドベンチャー映画としても優れていたように思える。
ちなみに重力マシンに関しては全く仕組みがわからなかった。化学専攻視点、人間が住める環境で液体金属は水銀しかなさそうだけど、あの赤い液体は新物質なのだろうか……。多分、他もかなりとんでもSFではあったので、多分赤い液体も雰囲気オブジェなのだろう。
また、ヒューマンドラマを見せようとするとどうしてもゴジラが漫画キングダムでいう楊端和のような強い脇役に位置してしまうのが悲しいところ。これはコングが人間と意思疎通できてしまうせいで、どうしようもない要素だったかもしれない。ただの喧嘩の強い先輩的立ち位置になってしまっていた。
本当に、前作の酷さで何も期待してなかったのだが、よくもこんなに化けたなと感心した。
心から楽しめるモンスターバース映画が戻ってきた。
