シシオリシンシ

ゴジラxコング 新たなる帝国のシシオリシンシのレビュー・感想・評価

4.3
※ご覧の映画は『猿の惑星』でも『北斗の拳』でも『マッドマックス』でもありません。ゴジラ映画最新作です。
映画を観ている間そんな注釈が流れてきそうなほどの『世紀末救世ゴリラ伝』なキングコング映画だった。

ゴジラとコングの活躍比は2:8とほぼほぼコングの映画と言って差し支えなく、ゴジラの役割は前作の宿敵が強敵(とも)となってタッグを組む美味しいライバル枠としての参戦だった。

この映画の特筆すべき点はドラマパートを怪獣のみで展開するという荒業で物語を引っ張るというクレイジーさだ。
故郷なき寂しさを抱えるコングが未開の地へ足を踏み入れ、初めて同族のコミュニティと出会い、そこを悪行を持って支配するチンピラ怪獣スカーキングから同胞たちを解放すべく立ち上がる!…いや待って!やっぱり北斗の拳か猿の惑星だよね!?
道中で出会う悪ガキ怪獣スーコを助けたことで相棒となり…いや待って!やっぱり北斗の拳だよね!? バットじゃんその小猿!(身長40m)
意図してか天然か知らないが、上記に挙げた他作品の要素がふんだんに詰め込まれた既視感のある作品だが、革命的なのはそれを全て怪獣にやらせるところだ。
コングもゴジラも特定の言語など全く喋らないのに何て言ってるかが手に取るように分かるし、スカーキングなんかCV古川登志夫ボイスで三下ムーブが聞こえてくるほど饒舌な感情が伝わる。こういうカートゥーン的(最近だとミニオンとか)な表現を持って怪獣のみのドラマを成立させたのは試みとして超面白いし、昭和の東宝チャンピオンまつり時代の擬人化チックなゴジラ映画を大規模な予算でアップデートしたという意味でも先祖帰りした感があってアダム・ウィンガード監督の怪獣観がハッキリと伺えるのも興味深い。
(とはいえ、「怪獣はこちらの理解を超越するからこそ怪獣なのだ!」と怪獣優生思想ぎみな自分が反発するのもまた事実。怪獣好きとは往々にして面倒くさい者なのです)

とにかく、感情豊かで愛嬌たっぷり、キュートでフレンドリーで、そしてストレートにカッコいい怪獣が沢山見られるめっちゃ楽しい大衆娯楽怪獣映画なので、とにかく楽しい気分になりたい人は『ゴジコン』キメに行くといいよ。
観たあとおそらく元気になれます!

※今作での最推し怪獣は氷結怪獣シーモちゃん。
チンピラのスカーキングが飼う狂犬かと思いきや実は洗脳されてただけで、本当はのんびり屋の忠犬だったと分かったときの可愛さったらたまらないのよ。
キラキラおめめで「お空きれーい」って見上げるところが最萌えポイント。
しかしフィジカル面ではゴジラと互角で、かつ氷結ブレスで地理的有利を構築できるので、あの世界では最強クラスの実力者というギャップも◎。
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