Jun潤

ゴジラxコング 新たなる帝国のJun潤のレビュー・感想・評価

3.7
2024.04.26

モンスター・ヴァース5作品目。
監督は前作『ゴジラvsコング』と同じアダム・ウィンガード。
前作でド派手に大喧嘩をしていたゴジラとキングコング、強さも五分五分といった感じで勝敗自体は一応付かず終いでしたが、今作ではタイトルが『vs』から『x』に変わり、2大怪獣が並び立って共闘するかのような雰囲気。
それぞれの見た目も、ピンクに光っていたりアーマーを装着していたりと前作との差別化がされていますが、肝心なのは誰と誰が闘うのか。
予告ではそれが分からなかったので、怪獣たちの活躍ぶりを早く目にしたい。
本来は今年がゴジラの70周年アニバーサリーで、それを今作に譲った形で昨年日本で公開された『ゴジラ -1.0』は、第91回アカデミー賞で視覚効果賞を獲るなど日本産の出来を見せつけていました。
原点回帰のゴジラvs人間と、ゴジラシリーズを盛り上げてきたゴジラvs怪獣では好みも映像の派手具合も変わってきますよね。
近年のゴジラ映画復活の契機とも言える作品群の最新作では、果たしてどんな姿を見せてくれるのか、また、前作ではヒーローっぽい立ち回りをしていたキングコングはどうなっていくのか、期待して今回もグランドシネマサンシャインのIMAXシアターにて鑑賞です。

ゴジラとコングが衝突してから数年。
ゴジラは地上に出てくるタイタンから人類を守り、コングは地下空洞で仲間の生き残りを探していた。
そんな時、地下空洞の前線基地と、髑髏島の先住民イーフィス族の生き残りであるジアに、謎の信号が届く。
その信号に呼応するように、ゴジラは世界各地で活動を始め、原子力発電所から放射能を吸収し、太陽フレアの影響を最も強く受けている北極に潜むタイタンを斃していた。
コングが暮らす地下空洞にも異変が起き、地震によってできた割れ目からコングは未開拓の地に降り立ち、そこで同じ種族のコングたちに襲われる。
なんとかコングたちを撃退し、ミニコングに案内させた場所には、大量のコングが帝国を築いていた。
一方、モナークは、アイリーンを始めとしたメンバーが地下空洞に信号についての調査のために訪れており、現地で栄えているイーフィス族の文明を発見する。
そこにある壁画には、太古の昔に地上を侵略しようとしてゴジラに封印されたコング、スカーキングの存在が示されていた。

んん〜?ゴジラ?コング?猿の惑星?ゴーストバスターズ?
なんだか色んな要素が絡んでいて個人的にはよくわからない作品でしたが、ゴジラとコングの物語というよりコングの話におまけでゴジラがついていた印象が強めで、70周年にあやからずにコング単体の作品として独立させても問題なかったのではと思ってしまいました。

とはいえ良かった点から。
やっぱりラストバトルですかね!
地下空洞の無重力から地上の街中を舞台にした大怪獣バトルは、人間が割り込む隙間を全く与えることのないただただ強いものが強い!な超シンプルな感じかつ、スカーキング&シーモvsコング&ゴジラのタッグマッチ的な見せ方も今作ならではの感じでしたね。
スカーキングに操られていただけのシーモと、お互いの自由意志でタッグを組んでいるコングとゴジラが対比されていたこともあり、クライマックスでスカーキングに対して1対3で猛攻を仕掛けるあたりは同情の余地もなく迫力だけがあってとても観応えがありました。

気になったのはラストバトルに至るまでの過程ですかね、、。
怪獣ものになると人間パートへの比重のかけ方が気になるのはもはや定番ですが、今作に関してはちょっと長めに感じてしまいました。
人間と怪獣の二軸展開ならまだしも、今作では人間とコングとゴジラの三軸展開だったのであまり良いテンポ感とは言えない気がしました。

人間パートは、前作までの印象が残っていなさすぎて、全員今作で初めて見たような感覚で観ていましたが、ぶっちゃけそれでも問題はありませんでした。
むしろ地下空洞というエネルギーや資源が豊富にある環境や、そこで暮らす先住民族など、いくらでもメッセージ性を詰め込める土壌を用意しておいて、そこには全く触れずにゴジラとコングが今どんな状況にあるのかを解説するに留まっていて、そこは好印象でしたね。

コングについては上述の通り完全に単独主人公な感じで、同種を一人探している様子や、同種たちが大勢スカーキングに奴隷扱いされている場を目の当たりにして反乱を起こすなど、色んな立ち回りをしていましたが、これが字幕なしで鳴き声とジェスチャーだけで大体の状況が把握できるというのが、スゴいを通り越してもはや怖かったですね。

ゴジラについては、やはり守護神というよりも恐怖の象徴という印象が他の作品での様子も合わせて強いので、一番印象的だったのは地下空洞に誘導したいコングに対してなりふり構わず攻撃をしかけていたところでしたね。
しかしそれまでの行動についてはイーフィス族のSOSを感じ取ったから、強大な敵に立ち向かうための準備をしていたはずなのに、それを無視してコングに突撃していたのを観るとちょっとアホの子なのかな?って印象がついてしまいました。
全部終わった後にはコロッセオで寝ちゃうし。

対決も共闘も終わって、モンスター・ヴァースの次回作では何をするのかが早速気になっています。
今作で登場したシーモもゴジラのそっくりさんって感じでしたが、アメリカ産オリジナル怪獣に期待するか、キングギドラをもう出しちゃったけど、東宝が過去に作り上げた怪獣をうまいことリファインして登場させるかして、今後も続いていって欲しいですね。
Jun潤

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