シネラー

ゴジラxコング 新たなる帝国のシネラーのレビュー・感想・評価

4.0
『GODZILLA ゴジラ』から始まった
モンスター・ヴァースも10周年を迎え、
ゴジラも70周年となる節目で公開された
本作を劇場鑑賞。
かなり頭を空っぽにして楽しめる
夢のようなハチャメチャ怪獣大乱闘で
想像以上に楽しかった。

物語としては非常にシンプルであり、
地下空洞の奥地から現れた
スカーキングの脅威に
ゴジラとコングが立ち向かう内容だ。
全体的に怪獣達のみで展開される場面も多く、
それでいて怪獣達が感情を読み取れる程
に擬人化している事が印象的だった。
人間ドラマ面における人物の成長や
葛藤といった部分は最小限で、
怪獣場面の為の補助といった役回りが
多いと思った。
前作から登場している人物に加え、
怪獣並みに思考がハチャメチャな人物が
目立っているのも清々しかった。
ゴジラ、コングと敵怪獣の他にも
多数の怪獣が登場し、
冒頭からゴジラとコングそれぞれの
戦闘が描かれる事での満足感があり、
ゴジラは地上で圧倒的な怪獣王、
コングは地下空洞の王として
明確に描かれていると思った。
シリーズとしては
"キング・オブ・モンスターズ"振りに
登場したモスラの戦闘場面や
人命救助といった活躍は嬉しかったが、
何よりもモスラの役回りが
『三大怪獣 地球最大の決戦』と一緒
なのが笑いをこみ上げたところだった。
そして、ゴジラとコングの最終決戦だが、
前作でのメカゴジラ戦以上の
ゴジラとコングの共闘もとい
コンビネーションが描かれており、
その戦闘場面は爽快でしかなかった。

不満点としては前作の
『ゴジラVSコング』でも言えるのだが、
コング主体となる展開が大きい事での
ゴジラのサブキャラ感が
否めないところではあった。
物語の進行自体も遅く、
ゴジラやコングの場面によって
緩和されている感覚もあったが、
人間ドラマが悠長な地下遺跡の散策
といった要素が強い上に、
メインの敵怪獣であるスカーキングの
登場もかなり中盤となるのが
気になるところだった。
そのスカーキングに関しても、
キングギドラやメカゴジラと比べて
格の下がるコングの派生怪獣
という印象は強く、
良い小物な憎い怪獣ではあるものの
スカーキングとタッグを組む
シーモの方が劇中でも厄介な描写が
多かっただけに残念だった。

確実に偏差値が低いとしか言えない位に
馬鹿馬鹿しさがある内容でもあるが、
そこ突き詰めたと言わんばかりの
作風が心地好く思える
ゴジラ・コング映画だった。
字幕で初鑑賞した翌日には
吹替で再鑑賞してしまった。
吹替で聴ける伊福部音楽を
リミックスした主題歌が作品にピッタリだ。
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