Yoshishun

ゴジラxコング 新たなる帝国のYoshishunのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

“ほぼヤンキー漫画な怪獣映画”

モンスターバース4作目『ゴジラvsコング』の続編。前作で地下世界を住処としたコングの前に現れたのは、かつて地上を征服しかけたボス猿スカーキング!
地底世界の猿の惑星学園に転校してきた新米ヤンキーコングは、スカーキングにボコられてしまい、地上に住む他校のエリートヤンキー・ゴジラパイセン、唯一ゴジラに口出しできる学級委員長ポジのモスラ姐さんと共に重力無視のタッグマッチに挑むのだった‥‥!

前述の通り、本作はほぼヤンキー漫画の下りを見せる。人間ドラマならぬゴリラドラマがほぼ全編埋め尽くしながらも、コングがゴジラ、モスラとカチコミに行く姿がまんまそれである。人間ドラマについては前作以上に適当かつ省略されており、地底調査に戦闘員も乗せずに5人という少人数体制で踏み切ったり、終盤のコングの巨大な強化武器を一体どうやって一人で運んできたのか解らなかったりと、ツッコミどころも倍増。地底と地上を繋ぐポータルという設定が霞む、「重力同士をぶつけて無重力空間を生む」という謎理論には爆笑するしかないだろう。

肝心のゴジラについては前作以上に出番が無く、ほぼ単独行動かつあくまでコングの引き立て役に徹しているようにも思える。『ゴジラ -1.0』のような恐怖感や脅威は一切感じさせず、コングの必至の説得に全く耳を貸さない脳筋化が進んだハリウッドゴジラはずっとこの路線で行くのだろうか。日本のゴジラとは180°異なる描き方に戸惑いながらもハリウッド資本の超大作で動かすには最適解ともいえる使い方なのだろう。

また、本作では故郷を失ったコングのように、ジアは少数民族最後の生き残りとして、地上世界では馴染めずにいた。そんな彼女の民族は何と地底世界に住んでおり、何百人もの仲間たちと集落を築いていたのだった。本当の家族といるべきか、育ての家族といるべきか、育ての親であるアイリーンは葛藤することになる。彼女の選択の顛末はラストシーン近くで明かされるが、他のドラマパートが希薄な分、ここだけはグッと来るものがある。

本作の敵であるスカーキングについては、他怪獣の骨を利用した鞭、そして氷河期到来の原因となったシーモを悪用した徹底悪。何も知らずにやって来たコングに致命傷を与えるものの、意外にも小物感が強く、実際にケリもあっさり付く。どうせならシーモをラスボスとして描いた方が良かったようにも思う。

日本ゴジラとは全く違う路線で突き進むハリウッドゴジラだが、次回作は果たしてどの怪獣を出すのか、はたまた作り出すのか。そろそろネタが尽きそうだがまだまだ広がり続けるモンスターバースに目が離せない。
Yoshishun

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