今までモンスターバースで培ってきた、地下空洞をはじめとする設定の数々を、活かしきれていないように感じました。
まず地下空洞での戦いは、その世界自体が自然に溢れかえっていて、かつ全てのスケールがデカいので、怪獣が相対的に大きく見えません。そのためサル同士の戦いは、そこらへんの自然公園で起きてるケンカを、大きく見せるためにローアングルで撮影し、派手な効果音を付けているだけに見えました。
また、戦闘の規模が大きくなりすぎて、怪獣や人間の行動または勝敗の結果が、どれだけ世界に影響してくるのかイメージがつかなくなってきました。「怪獣映画なんだから…」と思う気持ちも分かります。しかし、本シリーズは怪獣達にも思考を与えてしまっているので、根本の動機だけが欠落しているのは違和感を覚えます。味方サイドにも敵サイドにも共感できないので、終始カッコいいけれどもどうでもいい戦いでした。
ドラマ性を残し、もう少し人間の介入を増やして各キャラクターを掘り下げる、もしくはドラマ性を排除し、尺を30分ほど短くする…このどちらかに振り切ればもう少し万人受けする作品になると個人的には思います。
