ゴンベ

ゴジラxコング 新たなる帝国のゴンベのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

今回のトピックとしては、とにかく前作で唯一の生き残りかと思われていたコングに仲間ができ「ホーム」ができたということに尽きる。まずは両者を鉢合わせてどうなるか見てみよう、という形だった前作に対して、今作はゴジラ的カイジュウとコング的モンスターのそれぞれの魅力を、同じような課題に対する対応の違いを並べて浮かび上がらせるという見せ方になっている。

例えば「落ち着ける場所をどのように手に入れるか」。ゴジラの方は人間の思惑などは全く構わず、戦闘の後たまたま近くにあった手頃な場所で(「闘技場こそ俺のホーム!」というのがシャレが効いてて良い)丸まって眠ってしまう。あるいは「新しい力を得る」にしても、ゴジラはやはり戦いを通じて相手から奪い取ることで、全てを自分でやってしまえる。やはり神性を背負った存在になっている。

対してコングとなると、身体のメンテナンスすら自分一人ではできない。戦えばたちまち拳を損傷し、武器だったものを奪い取られ、人間に新しくガジェットを用意してもらって(象徴的にいえば改造人間ともいうべきものになって)ようやくホームを得ることができる。フランケンシュタインをモンスターの祖とすれば、コングはまさしく人間に「造られた」、あるいは人間から「排出された」モンスターであり、次にはその目覚めと暴走が描かれるのか、あるいはゴジラのあまりの苛烈さに対して、人間とタイタンの共存共栄を唱えて物申すヒーローになっていくか、とにかく人間性と獣性の拮抗がテーマになっていくのではないかと頭でっかちに考えてみるのも楽しい。

概して観客の心とリオデジャネイロに塵一つ残さない娯楽作ではあるが、次作に向けての積み上げ(というか描き込み?)はしっかりされていると感じた。とはいえコングの話があまりにも前景を占め過ぎてることは否めず、キングコング2としてやるので良かったんではないかという気はしなくもない。

「ヒーローとは何か」ということが利己性のトニーと利他性のスティーブの葛藤・和解を通して探究されたのがMCUのインフィニティ・サーガだとすれば、モンスター・ヴァースにもいずれシビル・ウォーならぬモンスター・ウォーの描かれる日が来たりするのだろうか。最初の予告が公開された時だか、いみじくもそんなFAを描かれてる方がいて爆笑したけど、『RRR』で言ったら間違いなくここがナートゥ・ナートゥ踊ってる状態よね。
ゴンベ

ゴンベ