TOHOシネマズ仙台で見た。『髑髏島の巨人』も『キングオブモンスターズ』も『ゴジラvsコング』も見ている。
だが、あまり期待せずに足を運んだ。はっきり言ってこれまでもそんなにすごく面白かったわけではないのだ。なのに、なぜだか足を運んでしまう。ブラックカレー(『包丁人味平』にでてくる麻薬成分のあるスパイス入りのカレー)のような作用がこのモンスターバースにはあるのだ。
それはすなわち、「話がピーマン」という麻薬である。
本作に対しても話を褒めている人は一人もいない。「馬鹿だ」「一線超えた」といいながら愛でている。そういうオタク・サブカル的な楽しみ方が一般化したことがひとつ(本映画の評価の高さのわけ)。
だが、それって日本だけの現象に思えるし、じゃあなぜ『大怪獣のあとしまつ』は失敗したのかという話になる。
話がなくて、信頼感がある。
そこである。
映画の値段はどんどん上がるし、つまらない映画を観たら5分で損切りしたいし、見たいコンテンツはあふれているし。
そんな心の隙間に、「オッホッホ、これならこれまでの話知らなくても楽しめますし、製作費を時間で割ればかなりのコスパになりますよ。ノンバーバルな楽しみなので、英語圏の人間ともそう変わらない体験ですよ」と彼我の境界を渡ってやってきたグリッチまみれのデジタル喪黒福造がささやいてくるのだ。
というわけで、悪魔のささやきに乗って足を運び、それなりの体験をして帰ってきた。
だが、前述のサブカル的な「中身がないのをあえて味わう」みたいなスタンスを白い目で見るスノッブな俺は、あんまり楽しめなかった。本来のゴジラとかモスラのこと、そんなに知らないし。
でも、自作が公開されて、その時財布に金があればどうせまた劇場に足を運んでしまうのだろうと思う。勝者がすべて手にする時代である。
モンスターには逆らえん。