すずき

ゴジラxコング 新たなる帝国のすずきのレビュー・感想・評価

3.8
前作から3年後。
ゴジラは地上世界の縄張りを荒らす他の怪獣をシバき倒し、コングは地下世界で大変だけど充実した日々を過ごしていた。
だがある日、コングは自分の同族と出会う。
彼らのボス猿であるスカーキングは、かつて地上侵略を企み、ゴジラにシバき倒されたが、今再び侵略を企んでいた。
彼らの対ゴジラ秘密兵器は、地下世界で捕らえた古代冷凍怪獣シーモ。
コングはスカーキングに挑むも、シーモの冷凍攻撃に苦戦し、片腕を負傷する。
コングは助っ人としてゴジラを呼びに行くが、ゴジラは「どのツラ下げてきやがったんだ!」と聞く耳を持たず…

モンスターバースシリーズ映画第5作。
諸事情で中々映画館に行けず、遅ればせながら鑑賞。
IMAXスクリーンは既に別の猿(惑星の方)の上映に取られていました。残念!

バカ映画路線は前作から更に磨きがかかり、ハチャメチャでムチャクチャ。
怪獣版「ワイルドスピード/スーパーコンボ」のような、凸凹コンビのトンデモバトル娯楽作品。

コングと彼の同族達とのドラマを、一切の言葉を介さずに描いたのはお見事。
コング族の少年(40mぐらいあるけど)スーコとの交流、クソガキから徐々に距離が近くなり、「北斗の拳」のバット的なポジションになっていく過程が面白かった。

一応怪獣たちだけでなく人間ドラマもあり、怪獣大好きクラブこと秘密組織モナークと、アンドリュース博士と有能な陰謀論者・バーニーも前作から続投。
かつて髑髏島でコングに守られて暮らしていた原住民達は災害であっさり全滅し、最後の生き残りの少女ジアとアンドリュース博士との義理親子関係が人間ドラマのメイン。
地上での一族最後の生き残りである事が、ジアとコングで被らせてるのかな。

日本語吹替版の翻訳は前作から引き続き、「コマンドー」の平田勝茂氏。
結構ノリ重視の台詞回しと、妙な所で豪華声優だったりするのも笑える。
そのチョイ役に大塚明夫!?みたいな。

今回コングは勿論、ゴジラにも性格というかキャラクター性や他の怪獣との関係性が現れているのが、漫画キャラ的で良かった。
ゴジラは基本オレ様タイプで、縄張りに入った他の怪獣をシバき倒してるから、怪獣に悩まされる人間にとって味方とも言えるんだけど、本人は別に人間を守る気も配慮もさらさら無い。
放射能を食いたくなったら原発を襲うし、寝たくなったら文化遺産の上だろうが気にせず寝る。
北極海でひっそり暮らしていただけの水龍怪獣ティアマットも、ゴジラに目をつけられたら最後、ボコられて喰われて可哀想である。
でもそんなゴジラも、嫁さんには一目置いてて頭が上がんないんだよね。
ゴジモスのカップリングがてぇてぇ…。

クライマックスは、コングwithゴジラvsスカーキング&シーモのタッグマッチ!
ツープラトンの協力攻撃には笑った!
しかし残念だったのは、古代怪獣シーモと決着が描かれなかった所。
スカーキングに操られてなかったら、基本温厚な子なのね、シーモ君。
暴走するのかと思ったら大人しくて、ちょっと可愛いけど。
しかし、ラスボスがスカーキングだと前作のラスボスより格落ち感はあるなぁ。
コングの相手としてはちょうどいいんだけどね。