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ゴジラxコング 新たなる帝国のRのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

映画館で友人2人と。

2024年のアメリカの作品。

監督は「ザ ・ゲスト」のアダム・ウィンガード。

あらすじ

怪獣と人類が共生する世界、未確認生物特務機関「モナーク」が異常なシグナルを察知したことを発端にゴジラが君臨する地上とコングが生きる地底世界の2つのテリトリーが交錯し、ゴジラとコングが激突する。しかし、その先には人類にとって更なる未知の脅威が待ち受けていた。

みんな大好きゴジラ、加えて個人的に日本版(シン&-1.0を加味しても)こっちの方が大好きなレジェゴジシリーズ、そしてモンスターバースシリーズの最新作。

本当はもっと早くに行きたかったんだけど、友人と予定がなかなか合わず、公開も終わってしまいそうだったので、滑り込みで吹き替えでようやく鑑賞してきました!!

ただ、ぶっちゃけ上述したようにレジェゴジの方が好き!とは言ったものの前作の「ゴジラVSコング」は不満点も結構あった方なので鑑賞前は期待半分、不安半分と言った感じではあったんだけど…。

結論から言えば、前作よりかは好みだし、面白い部分も多かった…ただ、やっぱり前作と同じような不満点も増えたなぁ…という感じ。

お話はあらすじの通り、前作で遂にゴジラとコングが夢のマッチアップ!の末に色々あって共闘の後、ゴジラは地上へ、コングは地下世界のホームに帰った…という地続きから始まる本作。

と言うことで前作があまり乗り切れなかった点として、今作の監督でもあるアダム・ウィンガードによる「僕の考えたゴジラ及びコング」=味付け」が合わなかったところにあるんだけど、そういう意味ではその続編であること、加えて公開前から色々と段階的に重ねた予告での情報公開により「こういう世界観ね!」とわかった上で観ることができたので冒頭から違和感なく観ることができた。

例えば、冒頭、ジム・リーヴスによる「Welcome to My World」にのせて地下世界で生きるコングのシーンから始まるんだけど、犬ともハイエナとも似つかない不気味なモンスター、ワートドッグの群れとの追いかけっこの末、ハントに成功、自宅の洞窟で食事にありつこうとするも虫歯が痛んでイテテな実に人間臭い感じだったり、一方のゴジラが蟹と蜘蛛が合わさったようなキモキモモンスター、スキュラにイタリア、ローマに襲われた際に、颯爽と現れて瞬殺、勝利の雄叫びをあげる、完全に地球の守護者としてのスタンスをとっている感じも怪獣というか完全にキャラクター化されちゃってるなぁ…と感じはするもののすんなり受け入れられる、ゆえにはじめっから面白い!!

その上でのゴジラとコングのアップデート具合が良い!!先にコングに関して述べちゃうと本作でも前作でゲットしたコングアックスを背負ってもはや完全に「主人公」のいでたちで活躍する姿がカッコいい!!加えて本作では中盤から地下世界の未開エリアに赴くことになるんだけど、そこで知り合ったコングを小さくしたような小型タイタン、スーコと成り行き上、行動を共にしていく中で絆を深めていく際に兄貴分な部分が見られたり、後々登場するスカーキングが支配するエリアで虐げられるグレイト・エイプたちを単身で助け出そうとするヒロイズムを見せたりとキャラクターとしても広がりを見せている。

特にその虐げられているエイプを助けたことで憤る下っ端タイタンに近距離でガンをつけられてワンパンでのすシーンがカメラワークといい、間といい、完全に不良漫画に出てくる主人公みたいでめちゃくちゃ笑った!

そして後半では敵との戦いにより、右手を負傷してしまうんだけど、人間サイドの協力により、秘密裏で動いたものの頓挫した「パワーハウス計画」のプロトタイプ「ビーストグローブ」つまりパワーハンドを装着して電気を纏い必殺パンチを敵にお見舞する、後述するゴジラのパワーアップに対抗すべく独自の形態を遂げていく!!まぁこれに関しては言いたいこともあるけど、それに関しては後述。

そして、ゴジラ!!ぶっちゃけ後述するけど、出番としてはコングに比べて少ない!!ただ、なんといっても今作で初登場する「エヴォルヴ形態」が良い!!

北極圏の海を根城にする海竜型タイタン、ティアマットとの戦いの末、滞留する太陽風のエネルギーを全吸収したことで自己進化した形態らしく、今までのゴジラでも背鰭が青く光ったり、バーニングゴジラになったりとカッコいいエフェクトやパワーアップ形態が出てきたけど、まぁ日本版のゴジラで見慣れた身からすると想像の範疇といった感じだったのに対して、この形態は監督が好きな色である「ピンク」を全身に纏い、「ブワンブワンブワン!」とレジェゴジお馴染みの背鰭でエネルギーを貯めての放出するケレン味溢れるビームまでピンク色という完全オリジナリティな感じでいっててめちゃくちゃ新鮮で観ていて面白い!

ぶっちゃけ普通のビームとどこが違うのか?という疑問がチラつくもののピンクエフェクトの特別感もあって観ていてものすごく満足感が高い形態で良かった。早くフィギュア化されないかなぁ笑。

そんな2匹、終盤まではなかなか相対し、共闘するというよりかはそれぞれのパートの中で活動していくので、ややヤキモキするところはあるんだけど、やはりなんといっても予告の時点でかなり話題になり、一部ミーム化もされた地底世界での横並びでまるで徒競走が如く「うおおおお!!」と駆け出すシーンは劇場で改めて観てもやっぱり爆笑してしまった!!なんだろう、みんなが畏怖する怪獣だぜ?まるで我が子の運動会を観ているお父さんお母さんみたいなほっこりする気持ちになってしまった笑

という感じでゴジラ、コング共によりパワーアップしている感じなんだけど、そんな2匹に襲い掛かる敵怪獣も今作ではわんさか出てくる!!

前述のワートドッグやスキュラ、スーコ、グレイト・エイプ、ティアマット以外にも「髑髏島の巨神」でのタコ戦を彷彿とさせるウミヘビ型タイタン、ドラヴンヴァイパーや後半で意外な活躍を見せる体から放電する機能を持つ、見るからに電気タイプの翼竜ヴァータシーンなど出番的にはそれほど多くないものの前述のモンスターを合わせると総数的に出てくる数も多いので次はどんなモンスターが出てくるんだろうというワクワク感がある!!

その上で特筆すべきは今作のボスキャラ、スカーキングとそのスカーキングが使役する氷を操る大怪獣シーモ!!先にシーモに関して言うと、ぶっちゃけ見た目的にはイグアナみたいな4足歩行の見るからに怪獣という感じであんまり新鮮味はないんだけど、青白い皮膚と鱗で覆われ、口から放つエネルギー波によって全てを凍らせるという見るからに氷タイプそのまんまなフォルムと生態がモンスターバース、加えてゴジラシリーズを振り返っても今までにいないタイプで何より新鮮。あとスカーキングが持つナイフみたいな鉱石によって嫌々使役させられているという不憫さもあって、意外と愛らしさもあるから不思議。

ただ、なんといってもスカーキングが良い!!見た目的には同じ猿型でもコングのゴリラっぽさに対して、オランウータンみたいな腕が長いひょろ長な猿って感じなんだけど、血で染めたような真っ赤な体毛と白内障のような白く濁った目の禍々しさ、性格も勇猛果敢なコングに対して、「偽りの王」の名の通り、他の猿とシーモを恐怖と痛みで支配し、人間と共生するコングを「ガッハッハッハ」と下卑た笑いで嘲笑する圧倒的ヒール感がたまんねぇ。戦い方もそのひょろ長い腕のリーチを生かして体に巻きつけたトレードマークの怪獣の背骨をまるで鞭のようにしならせて繰り出すウィップラッシュ攻撃がまたケレン味溢れてて良い!!ぶっちゃけコングのアックスだったり、上述のビーストグローブは無理やり取って付けた感が未だに拭えない身としては、こういうちゃんと怪獣というか生き物感を生かした武器で戦う、本来の猿に有って然るべきな野生的スタンスは褒めるべきところだと思う。とにかく今までのモンスターバースで出てきた敵怪獣の中では味わい深いというか、1番好きな部類に入るかもしれない。

そして、忘れちゃならないモスラ!!今作でも敵キャラではなく、ゴジラとコングの仲間として参戦してくるんだけど、レジェゴジ2作目よりも出番も多くて、終盤での戦いでは下っ端エイプたちを飛翔しながら、口から吐き出すネット攻撃を的確に当てて岩に貼り付けて蹴散らしていく様がお助けキャラとして頼り甲斐がありまくり!!エジプトで敵対してしまうゴジラとコングの間に神々しく登場して「喧嘩はそれまでよ!!」と一気に和解に導く圧倒的和平能力も良かった。まぁ日本版よりも虫感が強くて虫苦手な人はちょっときついかもだけど。

そんなモスラも交えて、終盤では遂にゴジラ×コングfeaturingモスラVSスカーキング&シーモの大怪獣バトルが勃発するクライマックスは見応え抜群!!第1戦での地下世界での無重力バトルも今までにない感じで新鮮だったんだけど、舞台を地上世界のブラジルに移しての死傷者何人出てるんだよ!ってくらいブラジルの街を破壊しまくってのダイナミックバトルが最高過ぎる!!コングはビーストグローブで電気パンチを繰り出し、ゴジラはエヴォルヴビームでビルを破壊し、スカーキングはアクロバティックな動きで2体の攻撃をかわし、シーモはアイスビームで周囲を凍りし尽くす!!終盤では今まで誰よりも虐げられてきたスーコのファインプレーによってシーモの支配が解かれたことで権力者としての地位を剥奪されたスカーキングをエヴォルヴでイケイケのゴジラの「やれよ!」の合図で「やっちゃって良いんですか!!」とシーモがアイスビームを吐いて全身凍らせて、最後はコングが両手で持ち上げて氷漬けのスカーキングを地面に叩きつけてそのまんまタコ殴りするパワープレイ!!そして最後はみんなで勝利の雄叫び!!これぞ怪獣プロレス、いやぁ令和のこの時代でこんな絵が観れるとは…生きてて良かったなぁ…。

まぁ、そんな感じでおおむね戦闘描写に関してはまぁ今までより印象的な戦闘シーンは少なかったものの満足できたんだけど、やはり監督が同じだからか不満点も前作と同じく多々あって、やっぱ人間パートが思ったよりも長い。冒頭のゴジラ、コング登場の後は前作で出てきたレベッカ・ホール(「PASSING 白い黒人」)演じるモナークの言語学者アンドリューズとブライアン・タイリー・ヘンリー(「スパイダーマン:アクロス・ザ ・スパイダーバース」)演じる陰謀論者でポッドキャスターのバーニー、そして髑髏島の先住民イーウィス族最後の生き残りの少女ジア(カイリー・ホットル)も登場しての地下世界に行くまでと行った後が描かれるんだけど、なんか「髑髏島の巨神」の二番煎じみたいな展開の連続で変わり映えがあんまりしないのに加えて、その間コングとゴジラパートもあんまり描かれないわ、スカーキングもモスラもいつまでも登場しないわでめちゃくちゃヤキモキする!いや、観客が観たいのはこういうのじゃないんだよ!怪獣バトルが観たいんだよ!あと、後半では無駄に地下世界で暮らす人々の民族描写が描かれるんだけど、未だに地下世界を前作で出したことに疑問を持つ自分にとっては今、これは誰が観たい絵なの?とちょっとイライラしてしまった。

終盤のコングがビーストグローブ装着するまでとかモスラが参戦するまでとかあんだけパッパいけたんだからもうちょいこのパート短くてできたと思うんだよな。

まぁ、毎回俳優を変えて出てくる主人公ポジ(といっても今作での人間側の主人公ポジはアンドリューズだが)の新キャラでダン・スティーヴンス(「ジェイコブと海の怪物」)演じる獣医のトラッパーはただでさえイケメンのスティーヴンスが陽キャで動物好き優男の兄ちゃんという要素てんこ盛りのキャラを演じている新鮮味もあり、かつ「できる男」として終盤でも普通に活躍していて良かった!!歴代の男主人公の中では個人的に1番好感が持てるキャラなので、続編があるならまた観たいなぁ。

あと、やっぱ今作でも思ったのがやっぱゴジラ×コングの映画ってよりも圧倒的にコング映画なんだよなぁ。主人公は完全にコングなのでパートの比重もコングのほうが多いし、加えて今作ではスカーキング&シーモとのタッグバトルの構図に持ってかなきゃいけない展開上、共闘というよりかは、まるでコングがゴジラを「使役」しているような感じで描かれているのがちょっと日本でゴジラに慣れ親しんだ身としてはムカつく。そりゃアメリカ映画でレジェンダリー製作、資本上、アメリカ産のコングに花を持たせるのは仕方ないのはわかっちゃいるけど、やっぱゴジラとコングのダブル映画と謳っているならばもっとゴジラとコングを対等に描いて欲しかった。なんつーかアメリカの「俺様感」が怪獣を通して透けて見えちゃうんだよなぁ。

あと、やっぱビーストグローブはやりすぎだと思う笑
生態的な進化を遂げるゴジラに対抗して、人工的な進化でアプローチするってのは正しいのかもしれないけど、あれじゃあロボット映画だよ!!もうあれ観てこのシリーズはなんでもありというか臨界点を超えたな…と半ば呆れて見てしまった笑。まぁ嫌いじゃないけど。

他にもその他の怪獣が怪獣ってよりも、モンハン感の方があったとか、敵も味方も猿多めなので「猿の惑星」感が強かったとか細かい部分でもちょっと気になることはあったかなぁ。

まぁ、そうは言ったものの細けぇことはいいんだよ!精神で令和のこの時代にこんなに呆れるくらい馬鹿馬鹿しくも、要素全部盛りのめちゃくちゃ凄いし、見応えがある作品を作ってくれただけありがたいし、現状VSものでCG効果使ってたくさん怪獣登場させるには日本で作るには予算の関係でも圧倒的に海外の方が金かけられるから、そういう意味でもアメリカに今後も期待せざるを得ないわけで。そこはもう本家の日本でもどう足掻いても勝てない部分なんだよなぁ。

かと言ってもうこのシリーズ観たくないかと言えば、そりゃもっと続篇作って観てみたい!!日本はシリアス路線で行くならば、もうコングのビーストグローブで行き着くところまでいっちゃったし、こっちはもっとバカバカしさ、怪獣プロレス感全開で盛り上げてって欲しい!!ただ、その際は-1.0のアカデミー受賞の追い風もあるし、もっとゴジラをコングと対等の主人公として描いて欲しい、それだけは切に願います!!

いやぁ、でも…なんだかんだ楽しめたなぁ!!
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