アオヤギケンジ

アイスクリームフィーバーのアオヤギケンジのレビュー・感想・評価

アイスクリームフィーバー(2023年製作の映画)
3.5
サブカルおしゃれ糞野郎のサブカルおしゃれ糞野郎によるサブカルおしゃれ糞野郎のための映画。やや長文です。
美大生が卒業制作で作ったかのような映画で、とにかくおしゃれなんだけど、そのおしゃれさが一体この映画にどんな効果をもたらせていたんだろうと考えると、特に何も効果はなかったんじゃないかと思えるほど、おしゃれを求めているだけのような映画でした。
作中の人物たちはみな一様に悩みを抱え、それなりにつらいことを経験してきたように思えるのですが、おしゃれがそれらをすべて打ち消してしまい、彼女たちの悩みは一体どれほどのものだったのか、推測さえできないほどのおしゃれさでした。
たとえばナツミは元々はデザイナーであったという設定にも関わらず、彼女が表現したかったデザインとはどういうものであったのか、最後まで結局わかりません。彼女はLGBTQで、そのことが彼女をデザインの道に進めたのではないかとも推察できますが、結局その関係性はわかりませんでした。
おしゃれというのは自己表現のひとつの形だと思っています。そのためLGBTQにかかわらず、何か鬱屈としたものを抱える人間のおしゃれはその表現があらわれ出るものじゃないかと思っているのですが、残念ながら映画のおしゃれさと登場人物たちが持つ「表現したいもの」の関わりは自分にはわかりませbでした。
つまりただおしゃれなだけなのです。それが何かに関係しているわけじゃない。デザイナーが一体何を表現したいと思っているのか、小説家が一体何を描こうとしてスランプになってしまったのか、さっぱりわからないのです。
とてももったいないです。おしゃれなのに! 雰囲気だけはおしゃれなのに! そのおしゃれさが何から来ているものなのかさっぱりわからないのです。何だったらおしゃれすぎてちょっとダサいのです。難しいですね、おしゃれって。