コマミー

プチ・ニコラ パリがくれた幸せのコマミーのレビュー・感想・評価

4.0
【2人の分身】



※fans voice様のオンライン試写会での鑑賞





「プチ・ニコラ」で言うと、2009年に製作された実写映画は学生時代に観たことがあった。純粋で活発な"ニコラ"の姿を見て、終始見惚れていた記憶がある。
だが残念ながら"絵本"は読んだ事はなく、原作者である"ルネ・ゴシニ"と"ジャン=ジャック・サンペ"の名前も本作で知った事になる。本作を観て思った事は、「ニコラ」と言う存在は原作者2人の"理想の子供時代"を集約した様な存在だと分かった事だ。2人が幼かった頃はつまり"戦時下"。制限される事が多かった時代で、"味わう事が出来なかった経験"などをニコラとして集約させたのだと分かった。

それと同時に、鑑賞後思った事の二つ目は、このニコラと言う存在は、"アルゼンチン"で比較的子供らしい経験をした"ルネ・ゴシニ自身の経験"に近い事が分かったのだ。ルネもサンペと出会い、本誌の制作に携わるまでは喪失も多かったが、比較的ニコラと近い経験をしたようだ。そんなルネの分身でもあるのが、ニコラだったのかもしれない。

本作は実際に、サンペ本人とルネの娘である"アンヌ"が参加しており、非常に"愛情"がこもった"優しいタッチ"のストーリーとアニメーションとなっていた。そしてやはり原作者に寄り添うニコラの存在がひたすら愛おしい。原作者とニコラの会話は、まさにルーツと分身を象徴した描き方だなと感じた。

こんなの見せられたら、やはり原作である絵本が観てみたくなったなと感じた。
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