ぶみ

ウィ、シェフ!のぶみのレビュー・感想・評価

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)
4.0
「おいしい」が未来を変える。

ルイ=ジュリアン・プティ監督、オドレイ・ラミー主演によるフランス製作のドラマ。
移民の少年たちが暮らす自立支援施設で働くこととなった料理人の姿を描く。
主人公となる料理人カティを、『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』に登場していたラミー、カティの勤務先となった施設の所長を、『最強のふたり』で主役を演じたフランソワ・クリュゼと、フランスを代表し、かつ日本でも馴染み深いキャストが登場。
物語は、自分のレストランを持つことを夢見る一流レストランの副料理長カティが、シェフと喧嘩して飛び出してしまい、行き着いた施設で奮闘する姿が描かれるのだが、日本では移民がクローズアップされることは殆どないものの、移民大国とされるフランスらしく、自由と平和を求めてフランスへやって来た移民を扱うという中々ヘビーな設定ながら、全体的にはコメディテイストが勝っているため、肩に力が入ることなく観ることができる。
何より、その移民を演じているのが、オーディションで選ばれた実際の移民少年40人であり、選ばれなかった人もエキストラで参加したとのことであるため、まさに社会派コメディとドキュメンタリーの融合と言えるもの。
また、原題の直訳が『旅団』や『部隊』、英題の直訳が『キッチン部隊』あたりとなるのに対し、キャッチーな掛け声とした邦題も秀逸。
前述のように社会派のテーマを軽妙なタッチで描き出し、クライマックスにある『料理の鉄人』のようなテレビ番組での畳み掛けるような展開に目を奪われるとともに、思わず「ウィ、シェフ!」と言いたくなる良作。

マイクを離さない。
ぶみ

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