フランスの未成年亡命者の問題と絡めながら、一人の料理人がシェフに成って行く話。
寂れた海岸沿いの街、美しくも冷たい映像とビターな展開・・・え？これは日本版予告編に騙された！？
と思いきや、在る瞬間から一気にギアが上がって陽気なコメディになるのには驚いた。
ありがちなタイプの作品かな・・・と、それほど期待していなかったが、エンタメの力を感じる良作だった。
とにかくテンポが良くて、俳優達が上手い。
話自体は奇をてらった物では無いし、テーマ柄ともすれば臭い話になったりもするし、荒唐無稽だったり唐突な展開もあるし、フランスらしいコテコテなギャグも出てきたりするのだが・・・それが鼻についたり、考えたりする前にシーンがドンドンと切り替わって笑わせたり感動させたり、そうかと思うとビターなエピソードや冷ややかなカットを差し挟んでアクセントを付け、伏線も回収しつつ、最後まで一気に力業で観せてしまうのは巧み。
表面的に接すれば理不尽で不愉快な相手かも知れないけど、人それぞれそうする理由があるんだよ・・・というのを集約させたヒロインの前菜（のソース）のエピソードは胸を打った。
食べ盛りなのに、昼食が出てくるまで何時間も待たされても暴れたりしないんだから、良い子たちだよな。
