KOUSAKA

ウィ、シェフ!のKOUSAKAのレビュー・感想・評価

ウィ、シェフ!(2022年製作の映画)
3.6
重たい社会問題を、ユーモアあふれるコメディタッチで軽やかに描くセンスはフランス映画ならでは。

フランスでは「同伴者のいない未成年(UAM)」と呼ばれる移民の子どもたちに、職業適性能力証明書(CAP)を取得するための教育を提供していること、ただし成人年齢の18歳までにCAPを取得できない場合は、強制的に国外退去させるということなど、初めて知ることが多く、シンプルに勉強になりました。

紆余曲折はありつつ最終的にはハッピーエンド、みたいなストーリー展開を勝手に想像していましたが、そこはフランス映画ならではのバランス感で、明るい希望は持たせつつも、リアルな現実もサラッと突き付けてくるところが、この作品をもう一つ上のレベルに押し上げていると思います。

移民の子供たちがそれぞれの故郷の懐かしの味を語り合うシーンや、カティが辞めた有名シェフのお店に予約を入れて(サビーヌ、最高)大挙して訪れるところなど、好きなシーンもたくさんありました。

今後、日本にとっても「移民受け入れ」という課題は重要になってくるのは間違いないので、楽しく学べる本作を政治家や官僚たちにも見て欲しいものです。
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