Jun潤

劇場版 SPY×FAMILY CODE: WhiteのJun潤のレビュー・感想・評価

劇場版 SPY×FAMILY CODE: White(2023年製作の映画)
3.7
2023.12.22

テレビシリーズ視聴作品。
原作漫画の連載が始まった頃から追っていますが、まさか映画化に漕ぎ着けるほどの人気コンテンツになるとは。
中身が面白いのは承知でしたが、こんなに全年齢対象になるなんて思いもしませんでしたね。
しかも最近のジャンプアニメ作品には珍しく完全オリジナルストーリー。
これは期待値上げていかなければ。

スパイ<黄昏>ボンド、殺し屋<いばら姫>ヨル、テレパシー能力少女≪被験体007号≫アーニャ、未来予知犬≪被験体008号≫ボンドからなる、自分の正体を隠す偽装家族フォージャー家。
ある日ロイドは、アーニャをイーデン校の優秀生徒にする作戦「オペレーション<梟>」に後任が決まったことを告げられる。
同じ頃ヨルは、偶然ロイドが見知らぬ女性(エージェント<夜帷>)と一緒にいるところを(超長距離から)目撃し、同僚の話と合わせて浮気を疑い出す。
そしてアーニャは、次の調理実習にて一位を獲ることができれば<星(ステラ)>を貰えることを知り、張り切り出す。
こうして、ロイドは任務遂行を継続するため、ヨルは浮気の真相を確かめるため、アーニャは優秀な成績を取るために、審査員である校長が好きなスイーツ「メレメレ」を実食するべく北国「フリジス」に家族旅行へ。
しかし道中、アーニャとボンドがテレパシーと未来予知で「お宝」と勘違いした機密入りのスイーツを口にし、同時期にフリジスが東西間で戦争を起こそうとしている陰謀に巻き込まれてしまう。
果たして世界、そして家族の未来はー。

うーんなんというかこれは、クレヨンしんちゃんの『暗黒タマタマ』×『ブタのヒヅメ』って感じ。
というかよくよく考えればフォージャー家自体がちょっと野原一家みたいなとこがあり、原作者監修の割に原作の展開に似通っている部分も多くて、劇場版で舞台を変えただけのいつもの話感も強めで、尚更オマージュというかリスペクトというかパクリというかなんというかって感じでした。
予告の時点でなんとなくわかっていたアーニャが大事なものを飲み込んでしまう展開とか、アーニャが排便を我慢しすぎてトイレを目の前にした花畑の風景とかそのまんまって感じ。
同じ劇場内にコメディシーンで吐きそうな笑い方をしていましたが、そんな人がクレヨンしんちゃんを見たら本当に吐いてしまうんじゃないかと隅っこでちょっと思いました。

ストーリー的には、メリハリのついた一本のストーリーというよりは、前後編にパックリ別れていた印象です。
前編はフォージャー家ならではのすれ違いと、いわゆる“普通”の家庭を知らない者同士だからこそたどり着く解決法で夫婦間、親子間、家族間の問題を解消していく、まぁ言ってしまえばいつものフォージャー家の日常を、舞台を変えて描いていたなという感じ。
後編は劇場版ならではのど迫力場面の詰め合わせみたいな感じで、ロイド&ヨルのかっこいい姿から、アーニャの子供なりに必死に頑張る姿まで描かれていて、まさに劇場版に相応しかったです。
しかしなぁ、個人的に『SPY×FAMILY』の面白さは、フォージャー家の関係性を軸にしたコミカルかつポリティカルに描いた、そのマッチ具合ににあると思っているので、今作の敵に政治的思想がある面が描かれていない時点で、その魅力を描き切ることはできないでしょう。
今作はその面が浮き彫りになってしまっていて、近年のジャンプアニメの劇場版としては及第点ちょい下ぐらいに落ち着いていた気がします。

締め方もちょっと雑だったかなと思います。
せっかくメレメレの素材を調達したのに、もう一回料理して改めてメレメレ実食、みたいな流れも無いし、その発端となった調理自習も雑に処理され、フランキーが出てくるあたりで、リキュール関連で何かしらオチがあるのかなと思わせてからの、エンドクレジットシーンのちょい出しで終わり、うーん。
アーニャが近年のアニメに出てくる幼女キャラの中でも抜きん出て可愛すぎるから許されてる感じがあるけど、普通に劇場版スケールのクソガキムーブをかましまくりなので、そこを許せるかどうかが今作の評価の分かれ目になるのかどうかというところ、果たして。
Jun潤

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