ディビッドとブランドン。悪夢の魔導師の血は、やはり濃く受け継がれていた。
正直に言えば、感動したとか魂が震えたとか、そういう感情は生まれなかった。ただただ不愉快で恐ろしくて、先が読めない展開に冷たい汗をかいていた。終幕後の感想は「新機軸にして傑作」、大満足の逸品だった。
クローンや胸糞金満豚野郎というモチーフは、もうだいぶ擦られているはずだが、ブランドン監督はそこに新しい角度から切り込み、われわれに冷たい刃を突き立てた。あんなのホント、ヤバいって。
あなたは家族や親友が目の前でひどい目にあってたら、どう思いますか?
その感情の100倍でしたね、この映画は。
キーアイテムのお面、『武器人間』のリチャード・ラーフォースト氏がデザインしてるのだけれど、これが最高。コンセプトは『焼けた顔の横に繊細な花を並べる』らしいのだが、アートとしての美しさと人間の秘める闇を表した禍々しさが融合し、神秘的なものに昇華している。ぜんぶ手に入れて部屋に飾りたい。
この映画、考察もできるだろうしテーマはあるのだろうけど、そんなもの吹き飛ばす力がある。ぜんぜんスッキリとしないけど、観る価値あり。オススメ。